[原子力産業新聞] 2002年 7月 11日 第2144号 <4面>

[原子燃料工業] PBMR燃料製造へ体制整備

原子燃料工業は1日付けで機構改革を行い、「燃料プラント開発準備室」を新設した。同社は4月に南アフリカ共和国のPBMR社から、建設計画を推進しているPBMR(ペブルベット・モジュラー・リアクター)の燃料製造設備に関する発注内定を受け、契約の詳細条件の交渉に入っている。納期は2004年末を予定、契約金額は約20億円の規模と見込んでおり、同事業展開に対応し今回準備室を設けた。

PBMRは電気出力12万から15万キロワットのモジュラー型高温ガス炉で、高い熱効率、優れた経済性、固有安全性等の観点から将来型原子炉として注目されている。PBMRの建設のために設立されたPBMR社は、南アフリカ共和国の国営電力公社エスコム社がその筆頭株主で、英国原子燃料会社(BNFL)などが出資している。1号炉(実証炉)は2007年の完成を目指して作業が進められている。日本でも日本原子力研究所の高温工学試験研究炉(HTTR)が運転を始めているが、PBMR、HTTRなどで用いられる燃料は現在の発電炉の主流である軽水炉と設計概念が異なり、直径約500から600ミクロンの二酸化ウラン(UO2)燃料核を炭素および炭化珪素で多層被覆した被覆燃料粒子を用いる点が特徴となっている。原子燃料工業では、1960年代から日本原子力研究所の高温 ガス炉プロジェクトを対象にして燃料製造技術の開発を進め、ドイツ、米国の燃料加工会社と並んで、その技術を完成。その後、ドイツ、米国が撤退したため、現在、原子燃料工業は、このタイプの燃料を商業的に供給できる世界唯一のメーカとなっている。

なお、同社が発注内定を受けた燃料製造設備は、南アフリカ国内に建設されるパイロットプラントに設置されるもので、年間約3トン(ウラン量換算)の生産能力を有する。同社はこれら設備の設計、製造、据付および試運転を実施する。


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