[原子力産業新聞] 2002年7月18日 第2145号 <3面>

[米国] ユッカマウンテン処分場計画認可申請段階へ

先週号で所報の通り、米国議会上院は9日の本会議でネバダ州ユッカマウンテンにおける使用済み燃料および高レベル放射性廃棄物 (HLW) 最終処分場建設計画を承認。米原子力エネルギー協会 (NEI) は、同計画における今後のプロセスとして次のような手続きが焦点になると説明している。

(1) 予算確保=エネルギー省 (DOE) が同計画の次の段階となる認可申請書の原子力規制委員会 (NRC) への提出が可能になるよう、議会は予算を割り当てなくてはならない。NEIとしても2003会計年度予算で放射性廃棄物基金から2億1200万ドル (275億6000万円) 、軍事廃棄物処分費として3億1500万ドル (409億5000万円) 、合計5億2700万ドル (685億円) の要求が認められるよう支援していく。

(2) 認可手続き=DOEは認可申請手続きの準備を開始する。処分場が可能な限り最高レベルの安全基準を満たせるよう保証するにはかなりの時間と努力を要することから、NEIとしてはネバダ州民の安全性を最大限に確保するための許認可手続きに同州自治体が建設的に対処していくよう働きかけたい。

(3) 使用済み燃料輸送=DOEはまた、使用済み燃料の輸送に関係すると予想される自治体や部族、州民などの見解を十分聴取しながら、州の緊急時計画に対する政府の資金援助やルートの確定など輸送計画の詳細について策定を始めることになる。第1回目の輸送が実施される3年前までには最初の輸送計画を完成する予定。

なお、NEIはこのほか注視すべき点として次のような項目を挙げている。

▽事業としての側面=ユッカマウンテン計画の承認により議会が原子力産業を強力に支持していることが確認され、米国の金融市場も原子力の利点についてさらに理解を深めることになるだろう。また、電力市場動向に左右されることとはいえ新規原子炉建設に向けた努力が一層加速されたと言えよう。

▽追加の処分容量=DOEの環境影響声明書 (EIS) の評価では、たとえユッカマウンテンの使用済み燃料処分容量が12万トンに拡大されたとしても同施設は環境保護庁 (EPA) が策定した安全基準を十分満たすことが可能。容量を拡大すれば、既存原子炉の運転認可を20年延長した場合でもすべての使用済み燃料を処分できる。放射性廃棄物法では07年から10年の時間枠内で現在の貯蔵容量である7万トンを修正すべきか否かについて議会に勧告するようDOEに要請している。


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