[原子力産業新聞] 2002年7月25日 第2146号 <1面>

[原子力安全・保安院] 新検査制度の検討を開始

総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会に設置された検査の在り方に関する検討会は22日に会合を開き、新たな原子力施設の検査制度の制度設計にむけた検討に入った。原子力発電施設等の規制側である原子力安全・保安院から品質保証の基本要求事項、保守管理に関する要求事項の原案提示を受けて、今後の検討課題等に関する審議を開始、2004年度の新制度移行をめざして検封を進める。

この日、原子力安全・保安院が示した規制側としての要求事項は品質保証と保守管理に関するもの。品質保証の面では、先の原子力安全・部会報告「原子力施設の検査制度の見直しの方向性について」に示された内容に沿って、事業者が適切な品質保証に関するルールに基づき計画的・体系的に保安活動を行っていることを確認することにより、施設全ての機能を逐一確認することをせずとも、事業者がその保安活動全体にわたって一定の信頼性・整合性を保っていることを確認するという基本的な考え方を示した上で、品質保証活動の流れとして、Plan (計画) -Do (実施) -Check (評価) -Action (改善) に従った構成を提案。従事者にとり理解が容易で実施しやすいこと、規制当局が事業者の品質保証活動のプロセスに沿って検査を行ううえで適切なプロセスとすべきとの考えを示している。こうした流れを踏まえ、具合的な要求事項として、その目的、適用範囲、定義、組織、計画、実施、評価、改善といった項目について示した。品質保証に関する要求事項に関し、各委員からは活動を支える人の問題を項目にとりあげるべきとの意見や、コミュニケーションがとれる組織を意識した制度とするべきなどの意見が出された。

保守管理については、事業者が規制側の要求事項に基づき具体的な保守管理活動を定め、規制当局は事業者が適切に保守管理を行っているかどうか、またその改善状況を監視することが必要とし、保守管理の実施方針の策定、保守管理の対象範囲、保守管理プログラムの策定、保守管理の実施、結果の確認、評価、是正措置、保守管理活動の評価-などの項目を示した。

一方、原子力発電施設の技術基準に関して見直しを進めてきた原子炉安全小委員会も同日会合を開き、技術基準の性能規定化と民間規格の活用にむけた報告をとりまとめた。検査制度の見直しに関連して、最新の技術的知見の迅速な反映等にむけ検討を早急にはじめることを提言。また民間規格活用についても、要求される性能を満たすからどうかを規制当局が確認し、規制基準を満たした民間規格は公示のうえ活用するなどの方向性を打ち出した。また民間規格の策定に規制当局が協力していくことや、規制基準の体系的な整備を進めることを求めている。新検査制度移行メドの2年後をめざして具体的な見通しを進める。


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