[原子力産業新聞] 2002年7月25日 第2146号 <2面> |
[外務省] 余剰プルトニウム処分に1億ドル外務省は23日の原子力委員会に「わが国の旧ソ連諸国向け非核化協力事業について」報告した。6月にカナダで開かれたサミットでは、G8ベースで原子力潜水艦や余剰核解体等今後の旧ソ連諸国に対する非核化事業を進めるにあたってのガイドラインが合意され、昨年9月に起きた米国でのテロを踏まえ、核兵器を含む大量破壊兵器等の拡散を防ぐため、G8が今後10年間に200億米ドルを上限に資金拠出することが努力目標に掲げられた。 日本からは小泉首相が協力事業の実施上の困難が解決されることを前提として、当面2億ドルの拠出を表明。うち1億ドルを、余剰核兵器プルトニウム処分のためG8が新たに設置する国際機関にあてるなどの方針を示している。余剰核がテロ集団等の手に渡ることが大きな懸念材料として浮上しており、余剰プルトニウム処分を速やかに進めていくことが国際的な重要課題として共通に認識されることとなった。 旧ソ連諸国への非核化協力については、92年のミュンヘンサミット以来、日本も93年から94年にかけてロシア、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタンの4か国と相次いで二国間協定を結んで委員会を設置し、核物質管理制度の確立等に支援等に成果をあげてきている。ただロシアヘの原子力潜水艦解体にともなう鉄道改修、使用済み核燃料の積み替え施設 (使用済み燃料を原潜から搬出して1時貯蔵、輸送容器に搬入する施設)といった協力事業は、主にロシア側の事情から計画実施が遅れており、協力のため設立された日露委員会に多額の執行残がたまっていることが問題視されている。 こうした問題は、日本だけでなく、同様の協力を進めている欧州各国でも問題となっており、今回のサミットでガイドラインを定めて計画の進捗をはかろうという国際間での合意がはかられることになった。外務省では今後、特に日露委員会における協力活動の透明性確保はじめ計画の円滑な推進をはかるため同委員会の抜本的な見直しを進めていることを説明した。 |