[原子力産業新聞] 2002年8月1日 第2147号 <2面>

[原子力委員会] 東京で市民参加懇談会開く

原子力委員会・市民参加懇談会は、7月24日午後、東京千代田区の主婦会館プラザFで、「市民参加懇談会ゥ東京」を開催した。これは、今年1月15日に刈羽村で開催された第1回市民参加懇談会に続くもの。

懇談会ではまず担当の木元教子原子力委員(=写真)が、原子力開発は自主・民主・公開の原則で行ってきており、長計等も民主的なルールに則って作成してきたはずだが、なかなか機能していないので、それを機能させるためにこの懇談会を企画したと説明、「国民の理解を得る」のではなく、国民を理解することから始める必要があると述べ、「広聴」の必要性を訴えた。

今回の懇談会では(1)日本のエネルギーの需要・供給はどうあればよいか(2)原子力発電は必要か不要か(3)原子力政策決定過程と市民との関わり‐‐の3テーマについて、日本経済団体連合会・資源・エネルギー対策委員長の秋元勇巳氏ほか6名の団体等の代表が意見を述べた。

このなかで、国のエネルギー政策に関しては、政府が二酸化炭素排出量を減らそうとする一方、電力自由化を進めればより安い石炭火力等が増えることが明白なのに自由化を進めるなど、政策の整合性がないとの指摘もあった。

原子力発電については、全面肯定も全面否定もできないとの意見が出される一方、原子力発電のコストがむりやり作られているのではないかとの疑問や、高経年炉の安全性、経済性への疑問も出された。一方、二酸化炭素排出量を削減するためには原子力、新エネルギーも含め、あらゆる非化石エネルギーを集結する必要があるが、原子力発電所1基分の電力を太陽電池でまかなうためには、山手線の内側全部の面積を太陽電池で埋め尽くす必要があり、原子力発電が最も現実的な選択肢との指摘もあった。

原子力政策については、政府首脳による核兵器保有に関する最近の発言について、「原子力委員会が何をしたのか、何を言ったのか見えてこない。強い態度をとるべきだ」との意見、安全性を納得するには安心できなければならず、情報公開や透明性、説明責任が重要との意見が出された。また、日本の原子力開発はアイソレートされた特殊法人で進めてきた上、原子力発電が国策なのか電力会社の営業政策なのか曖昧なままにされてきたのと指摘もなされた。

原子力委員会では、今後も市民参加懇談会を柏崎市はじめ各地で開催したい意向だが、時期については調整中としている。


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