[原子力産業新聞] 2002年8月8日 第2148号 <1面> |
[原子力委員会] 福島県知事と意見交換原子力委員会(藤家洋一委員長)は5日、福島県エネルギー政策検討会の場で佐藤栄佐久同県知事との直接対話にのぞみ、原子力政策をめぐる意見交換を行った(=写真)。佐藤知事は情報公開、明確なプルトニウム需給バランスをはじめ国のエネルギー政策の明確化が国民理解に不可欠などと要望。一方、原子力委員会は現在の原子力長期計画の考え方等を説明し、理解を求めた。 この日、原子力委員会からは藤家委員長はじめ5名の委員が全員出席した。佐藤県知事は冒頭あいさつし、同県がエネルギー政策検討会を設けて独自に検討してきた経緯を述べるとともに、「電源地域の将来を憂慮している」とした。 藤家委員長は、現在の原子力開発長期計画が「地域との共生」を重視しており、原子力が社会に利用されるうえで、地元をはじめ国民の生活に身近なものとなることが不可欠」との基本的考えを示した。 このあと佐藤知事は席上、疑問点として(1)原子力政策の決定プロセス(2)エネルギ‐政策における原子力発電の位置付け(3)核燃料サイクル(4)電源地域の将来-‐の大きく4点を示し、「国民理解には十分に情報公開が必要」、「プルトニウム需給バランスなど国の政策を明確に国民に説明するべき」などとした。 プル需給バランスに関して藤家委員長は「机上の計算ではなく、ひとつひとつ実績を積み重ねていくことが必要」などとして、計画の着実な実現に理解を求めた。また燃料サイクルに関して佐藤知事が「50年くらいワンススルーでいくという選択肢はないのか」とただすと、藤家委員長は「長期計画の目標のひとつはサイクルに時間的余裕をもたすことだった」として、50年モラトリアムするというより、段階的にサイクル政策を進めていくことが重要とした。 国民理解に関しては、木元教子原子力委員が「国民が何を考えているのかを理解するところから始めている」として、市民参加懇談会開催などを通じ、原子力委員会としても国民との直接対話を進めていると説明した。 |