[原子力産業新聞] 2002年8月22日 第2149号 <6面>

[電中研] 乾式再処理で見通し

電力中央研究所はこのほど、金属燃料を溶解し、ウラン、プルトニウムの同時回収を同時に行う電解精錬試験に成功したことを明らかにした。

電中研では、従来の技術に比べてコスト、核拡散抵抗性などにおいて優れていることから、「核燃料サイクルを新たに展開する有望な技術」として期待される金属燃料高速増殖炉と乾式リサイクル技術開発の研究を行っている。

電解精製技術は、約500度Cの溶融塩中に、バスケットに入れた使用済み燃料を陽極に、鉄の棒(固体)あるいは液体カドミウムを陰極に置き、両極に電流を流して陽極の燃料を溶融塩に溶かしながら、陰極に溶融塩中に解けたウランやプルトニウムを回収する技術。

乾式リサイクル技術開発の一環として主要な工程とされており、電中研では同技術をウラン、プルトニウム、ジルコニウムを含む金属燃料を使って研究するため、ドイツの「EU超ウラン元素研究所」に実験設備(=写真)を設置し、実験を行った。

結果、これまでの実験に比べて実操業に近い条件で、固体陰極にウランを単独で、また液体カドミウム陰極にウランとプルトニウムを同時に回収することに成功。電中研では「乾式リサイクル技術開発の重要なステップになると期待される」成果を挙げる事に成功したとしている。

電中研では今後、「より実操業に近い条件」として、使用済み金属燃料を使った電解試験を予定しており、同技術の実用化に向けた成果を積み重ねて行くほか、軽水炉などから生じる酸化物燃料にも適用出来る乾式リサイクル技術の開発も行っていく方針だ。


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