[原子力産業新聞] 2002年9月5日 第2151号 <1面>

[文部科学省] 来年度は26億の増額要求に

文部科学省は来年度の原子力関連概算要求として、前年度に比べ26億円増加の3244億円を要求する方針だ。高速増殖炉原型炉もんじゅの運転再開に関する事業や、先端的原子力技術の推進として大強度陽子加速器整備などを重点的に推進する方針。日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合に関しては、重複する分野の整理を行う考えで予算縮減がはかられる。

原子力科学技術の推進として、大強度陽子加速器やRIビームファクトリーの建設に206億円(前年度152億円)をあてる。また国際熱核融合実験炉(ITER)計画の推進に7億円を計上しITER建設等の準備を進める。もんじゅの着実な推進として、安全審査中の改造工事に着手するための工事費を含め、もんじゅ関連で104億円(同・120億円)を確保する方針だ。また国際的な取組みを視野にいれた次世代炉開発にも42億円(同・54億円)をあてる方針。原子力安全・防災対策では原子力艦の原子力災害に係る放射線モニタリング体制整備にむけ8億円(同・5億円)を配分する。保障措置の充実についても、六ヶ所再処理施設の試験運転をにらんだ保障措置検査や六ヶ所保障措置分析所(オンサイトラボ)の運用等に22億円(同・23億円)を計上する。原子力・エネルギーに関する教育環境整備について支援事業の交付金10億円(同・10億円)を確保の方針。放射線の利用研究については、重粒子線がん治療の研究に57億円(同・51億円)を計上した。大学等の基礎研究には333億円(同・324億円)をあて、加速器整備等を展開し、優れた研究者養成等につなげる考え。

原子力二法人の統合事業に関しては、組織・事業の合理化、スリム化を進める。具体的には、両機関の事務所機能の一元化や広報の一体化、ITを活用した業務運営システムの統合などを推進し、研究事業の融合を推進して、約69億円の予算減をはかる方針。


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