[原子力産業新聞] 2002年9月12日 第2152号 <1面> |
[英BE社] 破綻回避、公的資金導入で延命英国の原子力発電会社ブリティッシュ・エナジー(BE)社が、手持ち資金不足から経営危機に陥り、5日、英国政府に緊急援助を要請、同政府は9日、9月27日までの当座の運転資金として4億1000万ポンド(763億円)を供給することを決めた。 BE社は英原子燃料会社(BNFL)にも商業ベースで救済を求めたが、条件等が折り合わなかったという。BE社取締役会は、政府との話し合いが不成功に終わった場合、債務返済ができなくなるため、破産手続きに入らざるを得ないとしていた。 BE社が経営危機に陥ったのは、英国の卸売り電力料金が急激に下がったため。同社は英国の電力の25%を供給する同国最大の発電事業者だが、卸売り専業のため、配電・売電部門を持っていない。同社は1996年に民営化され、英国内で改良型ガス冷却炉(AGR)を中心に8カ所の原子力発電所(原子炉15基)と一か所の石炭火力発電所を所有・運転している。また米国には、エクセロン社と折半出資でアマージェン・エナジー社を設立、スリーマイル島(TMI)1号機をはじめ、3基を運転中。カナダではカメコ社とブルース・パワー社を設立し、ブルースA、B両原子力発電所で計8基・698キロワットを運転中(ブルースA4基は長期運転休止中)。 BE社の今後の見通しは決して明るくない。英産業貿易省は、今回の措置を「エネルギー供給を確保するためであり、BE社を救済するためではない」としており、破産管理も視野に入れている模様。同社は早急に長期的なリストラに取りかかるとしているが、実現には時間がかかるものと予想される。 BE社所有のAGR15基のうち、3基が機器トラブルのため停止中で、発電計画を下方修正している(本紙9月5日号3面参照)。同社は、アメージェン社やブルース・パワー社株の持ち分の売却を検討しているといわれる。BE社は昨年、国内事業で四千百万\(76億円)の税引き前損失を計上しているが、北米での事業から8300万ポンド(154億円)の利益をあげている。 BE社の経営危機をうけ、ロンドン株式取引所は、木曜日から同社株の取引を中止、政府による救済策が出された月曜日に取引は再開されたが、同社の株価は10日終値が22ペンスと、99年高値の30分の1以下に低迷している。 |