[原子力産業新聞] 2002年9月19日 第2153号 <1面>

[三菱重工] 米国から原子炉機器受注

三菱重工業は13日、米ウエスチングハウス社(WH)と共同で、米国バージニア州の大手電力会社・ドミニオン・リソーシズ社から、圧力容器上蓋と制御棒駆動装置四基の取り替え工事を受注したと発表した。今回の受注は三菱重工にとって初の米国向け大型案件で、米国市場進出へ大きく一歩踏み出すことになる。

受注した機器は、バージニア州ルイザバージニアにあるノースアナ発電所1、2号機(97万キロワット・WH社製PWR)と、バージニア州サリーにあるサリー発電所1、2号機(八十四万キロワット・WH社製PWR)向けの計四基。ノースアナ1、2号機は1978年と80年、サリー1、2号機は1972、73年にそれぞれ運転を開始し、設備の老朽化が進んだことから、圧力容器上蓋と制御棒駆動装置などの取り替え工事に踏み切ることになった。

今回の商談には、仏フラマトム、加B&W社などの有力メーカーが参加し、それぞれに交渉を重ねてきたが、最終的に三菱重工とWH連合が強豪を抑え、契約を交わした。契約は三菱重工が元請けとなり、機器供給を担当。WHは現地工事を担当する。供給範囲は、圧力容器上蓋と制御棒駆動装置の納入および据付が含まれる。なお、機器の製作は三菱重工の神戸造船所が担当する。

工事は2004年に着手、2005年完成の予定。製造する圧力容器上蓋は材質が低合金鋼製、高さ4メートル、幅5メートル、奥行き5メートルの大型構造物で、総重量は60トン。

三菱重工は圧力容器上蓋では過去スウェーデンと中国に納入の実績を持つ(=表)。同社は今後米国や欧州で、既設原子力発電所の長寿命化に伴う主要機器の取替需要が大きいと見ており、今後も海外市場へ積極的に取り組む意向だ。

三菱重工原子力部門の談話

今回のような輸出案件は、これからの国際協力の枠組にも合致しており、また技術の向上という面からも望ましく、積極的に取り組んでいきたい。


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