[原子力産業新聞] 2002年9月19日 第2153号 <1面>

[IAEA] 総会開く

同時多発テロから1年が経ち、イラクをめぐる情勢が緊迫するなか、国際原子力機関(IAEA)総会が16日、ウィーン市内の国際会議場「オーストリア・センター」で始まった。日本からは尾身幸次・科学技術政策担当大臣が政府代表として出席、演説した。

総括演説に立ったエルバラダイ事務局長は、1998年12月以来、5年間近く、IAEAがイラクで国連安保理決議687号に基づく現地査察を行っていないことを指摘、現地査察の再開をイラクが早急に受け入れるよう呼びかけた。

北朝鮮に対する核査察については、北朝鮮の核物質保有量の検証が、KEDOを通じた軽水炉供給合意の前提条件であることを指摘、北朝鮮が早期に協力しない場合、2005年から予定されている軽水炉機器の引き渡しが遅れる可能性を警告した。

一般演説に立った米エネルギー省のエイブラハム長官は、放射性物質を放散するいわゆる「汚い爆弾」について、作るのが容易で、大きな混乱が予想され、「これこそテロリストの狙うところだ」と警告、この問題に関する国際会議の開催を呼びかけた。

エルバラダイ事務局長は16日に記者会見を行い、「イラクの特定の施設に関する商業衛星の写真は入手しており、それらの画像には変化が見られる」としつつも、1998年以来現地査察を行っていないので、査察を行わない限り、何も検証できないと述べた。


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