[原子力産業新聞] 2002年9月19日 第2153号 <2面>

[米DOE] 米国がITERに復帰を検討

米エネルギー省(DOE)の核融合科学諮問委員会(FESAC、委員長ハゼルタイン・テキサス大教授)は、9月11、12の両日、メリーランド州ゲイザースバーグで会合を開き、8月に同委員会の「燃焼プラズマ戦略パネル」がまとめた、米国が国際熱核融合実験炉計画(ITER)に復帰すべきとの勧告を全会一致で承認、DOEのオーバック科学局長に答申した。

戦略パネルの報告書は、ITER(=写真)、米国が計画する小型核融合装置のFIRE、イタリアで計画中のIGNITORの三核融合計画を比較、「ITERは最も包括的な科学技術計画であり、進んだ状況にあり、また国際的にも支持されていることから、同計画のパートナーとなるべくITERに加盟する交渉を行うべきだ」とし、米国がITERに全面的に参加した場合必要な予算は年間約1億ドル(約120億円)としている。

米国のFIREについては、「概念設計前の段階」とし、ITER参加決定まで、物理的な確証試験を進め概念設計を始めるべきとする一方、米国がITERに参加を決めれば、FIREは中止するべきと述べている。また、2004年7月までにITERが建設に向けて進まない場合、FIREへ諸外国の参加を呼びかけ、米国が中心になってFIREで燃焼プラズマ試験を進めるべきとしている。

今回の勧告について、DOEのオーバック科学局長は、全体的に満足としつつも、今年12月中旬までにブッシュ大統領に対して、今後の核融合開発の全体像について答申したいと述べ、このためFESACに対し、今後35年以内に核融合発電実証プラントを運転開始できるような計画の立案を求め、今年12月1日までに予備報告書を、来年3月までに詳細な計画を立案するよう求めた。

米国は1999年7月にITER工学設計から脱退したが、ブッシュ政権発足後、米国の核融合研究開発計画が見直されており、エイブラハムDOE長官は、ブッシュ大統領からITERへの米国の参加を真剣に検討するよう指示を受けていた。


Copyright (C) 2002 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.