[原子力産業新聞] 2002年9月26日 第2154号 <3面>

[スイス] 処分場建設計画否決

スイスのニドヴァルデン州で行われた州民投票は22日、同国の放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が計画していた低・中レベル放射性廃棄物(LLW/ILW)処分場の試験用横坑試掘を否決した。

試験用横坑の掘削については昨年10月に同州の州議会が許可を発給していたが、州民は1万1112対8204でこの計画を拒否したもの。処分場建設計画ではまず、この横坑を試掘した後、NAGRAが処分場全般の建設許可を申請することになっていた。また、LLW/ILW貯蔵の管理戦略に関する独立の技術諮問委員会は横坑掘削を支持する見解を示していた。同州では95年の州民投票でも試験坑と処分場に関する全般の建設許可の両方を否決した経緯がある。

M・ロイエンベルガー・エネルギー相は今回の票決について「反原子力というよりは、『わが家の裏庭にだけはゴメンだ』という総論賛成・各論反対の意識が現れた結果と解釈している」とコメント。しかし、ヴェレンベルクに処分場を建設する計画は事実上難しくなったとの認識を表明するとともに、「現実に廃棄物が存在する以上、問題が解決されたわけではなく、また新たなスタートを切らねばならない」と述べた。また、スイスの廃棄物を国外で処分する選択肢については、「論外」だとしてきっぱり否定している。

なお、スイス原子力協会(SVA)は廃棄物処分問題を解決するためには今こそ政治的な意志を明確に表す必要があると指摘。「今回の投票では廃棄物貯蔵の安全性が問われたわけではない」と強調しており、ビュルリンゲン州のツヴィラーグではすでに2000年5月に全種類の放射性廃棄物の中間貯蔵および低レベル廃棄物の焼却・前処理施設が開所している事実に触れた。また、他の国では低・中レベル廃棄物の処分施設が安全に操業しているほか、フィンランドと米国には使用済み燃料および高レベル廃棄物の処分場プロジェクトが存在する点を強調した。


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