[原子力産業新聞] 2002年9月26日 第2154号 <3面>

[米DOE] プル在庫量削減で今後の協力分野特定

米国エネルギー省(DOE)のエイブラハム長官とロシア原子力省(MINATOM)のルミャンツェフ大臣は16日に共同声明を発表し、両国の高濃縮ウラン(HEU)とプルトニウムの在庫量削減のために設立された専門家委員会が、ロシアのHEUを希釈して西側諸国の原子炉で燃焼させるなどの協力分野を特定したことを明らかにした。

この「核物質処分の加速に関する専門家グループ」は、今年5月に開かれたモスクワ・サミットでブッシュ米大統領とロシアのプーチン大統領が設立を決めていたもの。核軍縮からの逆行防止を保証、核不拡散体制の強化、余剰の兵器級核物質の処分加速によるテロ防止‐‐などが両国共通の関心事項であることで見解が一致し、中・長期的に二国間、多国間の方策を探るのを目的としている。同グループの報告書は予定よりも3か月早くまとめられ、両大統領に提出されることになる。同報告書は、既存の合意事項に留まらずHEUの削減につながると思われる今後の具体的な協力分野について次のように特定している。

(1)低濃縮ウラン(LEU)に希釈したロシアのHELを米国で保管する戦略の策定(2)核物質の統合・転換プロジェクトに基づき、LEUへの転換速度と量を拡大(3)ロシアのHEUをLEUに希釈し、西側諸国の原発で利用(4)ロシアのHEUを米国の特定の研究炉で利用(5)並行してロシア製、米国製の研究炉用LEU燃料の開発を促進‐‐など。

同グループはまた、兵器級プルトニウム処分のための短期協力で潜在的に可能性のある新規の協力分野として、(1)2000年の合意に基づく追加の兵器級プルを利用してロシアの原発用に追加のMOX燃料を製造する(2)ロシアでMOX燃料を利用するほか、その他の国々に残りをリースもしくは輸出する‐‐を挙げている。


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