[原子力産業新聞] 2002年10月10日 第2156号 <1面>

[原産] 日韓原産セミナー開く

日本原子力産業会議は韓国原子力産業会議と合同で、7、8日の2日間、東京港区のアジュール竹芝において「第24回日韓原子力産業セミナー」(=写真)を開催、韓国から参加の27名をはじめ、日韓の原子力関係者約140名が参加した。

今年はワールドカップの日韓共催を機とした「2002年国民交流年」にあたることから、本セミナーでは記念講演などが行われたほか、「電力市場の自由化と原子力発電の役割」、「使用済燃料・放射性廃棄物の処分場立地を巡る国民の理解と問題点」、「原子力発電所の建設・保守の技術向上」、「原子力発電所の定期安全レビュー」、「原子力発電所での最近のトラブルについて」など、日韓の原子力産業界が直面する問題について、講演や討論が行われた。また、ラジオアイソトープ(RI)や放射線利用に対する日韓の関心の高まりを受け、今回は並行セッションとして「RI・放射線の産業利用の最新動向」などのセッションが持たれた。

はじめに挨拶に立ったセミナー準備委員長の坂本裕郷・北海道電力副社長は、日本で原子力発電が始まって34年目、韓国では25年目になるが、日本では昨年度の原子力発電所平均設備利用率が80.5%で近年横ばいなのに対し、韓国では93.2%で上昇機運にあるなど、日本にとっても韓国から学ぶべきところが大きいと述べた。また、6月に日韓が共催したワールドカップを例に最近の日韓交流の成熟化を強調した。

韓国側を代表し挨拶に立った韓国原産の方國鎮・常任理事・事務総長は、世界的に原子力発電を見直す気運の中、韓国では17基の原子力発電所を運転、総電力の39%を発電しており、140万キロワット級標準型炉APR‐1400を開発し、2015年までには11基が新たに運転を開始する予定だと述べた。RIや放射線利用分野でも韓国内で1400の事業所が利用、1万5000人が働いており、今後も研究炉の「ハナロ」やサイクロトロン利用を通じて、RIの生産・供給を強化していくと述べた。

2日目には、日韓における最近の原子力発電所の主な事故・故障を発表するセッションが開かれ、韓国からは今まで詳細が明らかにされていなかった蔚珍(ウルチン)4号機での蒸気発生器細管破損事故について発表、日本からは浜岡1号機での配管破断事故について発表が行われた。(記念講演と蔚珍事故発表の概要を来週号で詳報の予定)


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