[原子力産業新聞] 2002年10月17日 第2157号 <3面> |
[米国] 2大学で原子力コース新設米国エネルギー省(DOE)のS・エイブラハム長官は8日、米サウスカロライナ州の2つの大学で学部生と大学院生を対象とする原子力工学プログラムが新設されたことに歓迎の意を表明した。 原子力工学で学位が取得できるコースが米国の大学で新設されたのは過去20余年の間で初めてのこと。サウスカロライナ州立大学(SCSU)とサウスカロライナ大学(USC)ではすでに新コースの設置について同州・高等教育委員会の承認を得ている。同州はもともと、原子力開発利用に深く係わる地域で、州内にはすでに7つの商業炉が稼働するほか、商業用原子燃料加工施設や低レベル放射性廃棄物処分施設、DOEのサバンナリバー施設が立地。DOEとしてもSCSUが工学技術に関する履修プログラムを原子力工学関連のものに移行させるのを支援するため、毎年12〜14名の学生を対象とする奨学金などの形で2000年以降、すでに60万ドルに及ぶ補助金を交付している。 エイブラハム長官は、これら2大学による決定は米国の国家エネルギー政策を支援するとともに原子力技術を保障をしていくのに適切な専門家の確保につながるとして両大学の先見の明を賞賛。新しい履修プログラムは原子力工学専攻生に対する州や連邦政府の要求に十分応えることになるだろうとの見解を示した。 SCSUが学部生対象に新設したプログラムでは今後、ウィスコンシン大学が協力を提供する予定で、履修生は同大学とSCSU両方のキャンパスで学位の取得が可能だ。大多数のコースはSCSUキャンパス内で単位を得ることができるが、原子炉物理などの履修プログラムで最終的仕上げをするにはウィスコンシン大学のマジソン・キャンパスにある研究炉の活用が必要との判断による。新設コースには今年、11名の学生が登録を済ませているが、同大学では今後は年間30名ほどの学生を確保していきたい考えだ。 一方、USCが新設したコースでは、原子炉の設計や安全、材料などの一般分野における研究で理学修士号と工学修士号、および博士号の取得が可能。初年度分として15名の大学院生がこのコースに登録しており、USCは来年度以降、約30名の希望者を募りたいとしている。 |