[原子力産業新聞] 2002年10月17日 第2157号 <3面>

[ブルガリア] 「閉鎖はEU加盟後」ピア・レビューを要請

ブルガリアの原子力規制当局が3日に伝えたところによると、同国議会は2日、「コズロドイ原子力発電所3、4号機はブルガリアが欧州連合(EU)への加盟を果した後に閉鎖する」との宣言文に署名した。

ブルガリア議会と同国の原子力産業界は1日にブリュッセルで開かれた欧州議会のセミナーで、同国のEU加盟と引き替えに閉鎖の圧力がかかっているコズロドイ3、4号機についてEU加盟国によるピア・レビューが実施されるよう要請していた。このセミナーで講演した同国のM.コバシェフ・エネルギー相は、コズロドイ発電所の閉鎖を巡るブルガリアとEU間の長期にわたる話し合いは技術的な観点ではなく政治的な面から論じられていると批判。EUとの加盟交渉が終了してしまう前に15のEU加盟国の委託による「技術的な事実に関する相互レビューが必要だ」と訴えた。同相はまた、このレビュー結果は国際原子力機関(IAEA)が6月に実施した同発電所の安全審査の結果を再確認することになるだろうと指摘。IAEAの原子炉施設安全部長はこの審査で、同発電所の対象炉が最新の安全基準に準拠しており高い安全レベルを達成している点を保証していた。

コズロドイ1、2号機については、すでに99年のEUとの合意に基づいて、年内にも閉鎖されることが決まっている。M.コバシェフ・エネルギー相はよれば、これら2基に続いて3、4号機を2006年までに閉鎖してしまうと、国内の発電容量の20%が失われることになる。この年までに同5、6号機の改良工事を終えることが難しいことを勘案すると、国内経済への影響は甚大だと訴えている。

なお、G.フェアホイゲン拡大EU担当委員はブルガリアによるピア・レビューの要求を妥当なものと判断しながらもEUとしての立場は変わらない点を強調。3、4号機を巡る議論が実質的に政治的なものになっていることを認める一方で、ブルガリアが2007年にEUに加盟できるか否かは不透明との見解を表明している。


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