[原子力産業新聞] 2002年10月26日 第2158号 <1面>

[原研] JPDRが初の廃止届

日本原子力研究所は17日、東海研究所(茨城県東海村)の動力試験炉「JPDR」(BWR、1万2500キロワット)について、廃止届を遠山文部科学相に提出した。実際に発電が行われた原子炉で廃止届が出されたのは、わが国では初めてのこと。1963年10月26日にわが国で初めて原子力発電に成功し、「原子力の日」制定のきっかけとなった同炉は、21世紀2回目の記念すべき日と前後して、その役目を完全に終えることになる。

同炉はすでに、1986年度〜96年度に行われた「解体実地試験」により、すべての施設の解体撤去は終了しており、現在跡地は整地され、敷地は開放されている。今回廃止届けが提出されたことから、文部科学省は今後、廃止措置が適正に行われたかどうかの確認を実施。なお確認後の跡地について同省では現在、原子炉等規制法の対象外とするかどうかを検討中ということだ。

1963年10月26日に、わが国で初めて原子力発電に成功した記念碑的存在である「JPDR」は1960年に着工され、63年8月に初臨界を迎えた研究用の沸騰水型軽水炉。

76年の運転終了後、86年度からは解体実施試験という「新たな任務」に就き、96年3月には全設備の解体撤去が完了。この試験を通じて、様々な原子炉解体技術の妥当性・有効性が確認されたばかりでなく、商業用原子力発電所の解体の際に役立つ数々の貴重なデータも得られるなど、JPDRはその生涯を通じ、わが国原子力発電炉の「礎」的存在であり続けた原子炉と言える。


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