[原子力産業新聞] 2002年10月26日 第2158号 <3面>

[仏・IRSN] ラアーグ再処理工場など白血病との関連否定

フランスの原子力安全防護研究所(IRSN)が3日付けで伝えたところによると、同国の放射線防護関係の専門家グループは「ラアーグ再処理工場など仏国北部にある原子力関係施設と近隣地域での白血病の増加に関連性があるとは考えにくい」と結論付ける調査報告書を明らかにした。

これは「北コタンタン地方放射線生態学グループ(GRNC)」による2度目の報告書で、1年以上前に包括的な疫学調査が実施された際、「白血病の増加は十中八九、これまで過疎気味だった地域に大型産業施設の立地にともない多くの人が急速に流入したことに起因する」との科学的合意事項が強調されたのを再確認する結果となった。97年に創設されたGRNCは2年前、次の3分野については調査を継続するよう指示を受けていたもの。すなわち、(1)白血病リスク要因の見積りに使用されたパラメータの不確実性の度合い(2)英国で実施された同様の調査と仏国における複数の調査結果との比較(3)原子力関連施設から排出される化学物質による周辺住民の健康と環境への潜在的な影響‐‐である。

これらに関して調査した結果、同グループが導き出した主な結論は以下のようになっている。

▽白血病と放射能=いかなる形にせよ、原子力関連施設からの放射性物質が同地域の白血病罹患率を全国平均よりも若干高めにした原因とは到底考え難い。放射性物質の放出リスクに関連する不確実性の範囲は相対的に限られていると思われ、初回の調査結果を大幅に変更するものではない。

▽英国での調査との比較=特に英国の「環境放射線の医学的側面に関する委員会(COMARE)」が実施した大規模な調査の結果と比較すると、この調査のために設立された機関の性質が両国で非常に異なっていたにも拘わらず、調査方法が類似しており、得られた結論は首尾一貫していた。

▽放出された化学物質の影響=算出されたリスクレベルは概して低く、現在の科学的知見に基づいて見た場合、公衆の健康や生態系には何の影響も及ぼさないと考えられる。また、地元の原子力施設で使われている化学物質と白血病のリスク増大を結び付けるような根拠は全く見つからなかった。

このような結果から、GRNCとしては放出される化学物質の影響を計算するモデルの実証のため、環境測定プログラムを策定するよう勧告。化学物質の毒性についてもさらなる調査の実施を促している。


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