[原子力産業新聞] 2002年10月31日 第2159号 <3面>

[米・ビスコンティ研究所] 国民の過半数が原子力支持

米国のビスコンティ研究所が実施した原子力に関する米国民の最新の意識調査で、原子力を強く支持する人の割合が過去最高レベルに達するなど、引き続き賛成派が半数以上を占めていることが明らかになった。

同研究所は89年以来、米国民の原子力に対する認識について継続的に調査を実施。前回の6月に続き、10月4日から6日にかけて成人1000名を対象に新たな調査を行ったところ、7ポイント増の65%が原子力の利用に賛成しているとの結果が出た。「原子力を強力に支持する」と答えた国民 の割合も前回の20%から35%に増加し、同研究所が調査を開始して以来、最も高い数値になったとしている。同研究所の分析によると、賛成者の割合はこの20年間で着実に伸びてきており、今年2月に調査した時点で支持派の割合は過去最高の66%を記録したことが分かっている。

一方、反対派の割合は相対的に減少しており、10月調査では31%に留まった。「原子力の利用に強く反対する」という強硬な見解の持ち主は15%と変わっておらず、賛成派と反対派の格差はこの20年間で最も大きくなったと同研究所では指摘している。

このほか、米国の将来のエネルギー需要を満たす上で原子力は重要な役割を担うべきだとする米国民の割合は76%に達しており、「非常に重要」と答えた人は42%に増加。どちらもこれまでで最高レベルとなった。また、稼働中の原子炉が連邦政府の安全基準をクリアしている限り「操業 認可の更新を支援する」と答えた人は82%におよんでおり、70%はさらに踏み込んで、「新規原子炉の建設オプションを堅持すべきだ」との考えを提示。55%は「米国は是が非でももっと多くの原子炉を建設すべきだ」と訴えていた。

原子力発電所がテロ攻撃を受ける可能性については、今回の調査に協力した人々の78%までが「多少あり得る」、あるいは「かなりあり得る」と答えていたことをビステコンティ研究所は明らかにしている。ただし、こうした攻撃に対する原子力発電所の耐久性に関して国民の見解は不統一。自分の居住地に最も近い原子力発電所について、53%は「テロ攻撃に耐え得る」とする一方、40%はその耐久性を信じていないことが判明している。

なおこのほか、放射性廃棄物輸送の安全性に関して同研究所は、「見聞きした情報によって米国民の見解が大きく左右される傾向がある」と指摘。例えば、「3000回以上もの廃棄物輸送で間違いは起きていない」との情報によって人々の見解は好意的な方向に傾き、輸送の安全性を信じる人の割合は58%から73%まで上昇したとしている。


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