[原子力産業新聞] 2002年11月7日 第2160号 <2面>

[米・NEI] 東京でセミナー、米事情の報告

米原子力エネルギー協会(NEI)は10月28日、東京千代田区の大手町サンケイプラザで、「NEIセミナー‐経済性と安全性を両立させた米国原子力発電の紹介」を開催、約百名が参加した。このセミナーは、米コンサルティング会社のインターナショナル・アクセス・コーポレーション(IAC)が企画・運営、日本原子力産業会議が後援して開かれたもの。NEIからは2名の幹部職員が講師として出席した。

セミナーではIACの由岐友弘社長が、「1990年代始めに、規制でがんじがらめになっていた米国の原子力産業界において、幾つかの業界団体をまとめてNEIを創立し、電力自由化の中で国益を考えて規制合理化などへの働きかけを行ってきたのは見事」と述べ、このプロセスが日本にも参考になるとした。

続いてNEIのR・シマード上級部長(=写真)が、「原子力発電の性能に関わる、リスクマネージメント及び規制改革による効果」と題して講演、米国における原子力規制の改革が、安全性の改善しつつ原子力発電所の運転成績の向上に果たした役割について語った。

同氏は、米国の原子力発電所における設備利用率と重要なトラブルの発生頻度について、1990年以来、これらが負の相関性を持っていることを示した。米国における各種の原子力規制は70年代後半から膨大な数にふくれあがり、71年の数10件が93年には1100件程度にまで増加。90年代初頭には、原子力発電所運転責任者が安全上本当に重要な事項に十分注意を払えない状況に至っていたと指摘、リスク情報にもとづく発電所監視により、重要な系統に資源を集中できるようになったと述べた。


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