[原子力産業新聞] 2002年11月7日 第2160号 <3面> |
[独・原子力学会] 原子力オプション維持要請ドイツ原子力学会は10月初旬、9月の総選挙で2期目の続投を決めたシュレーダー社会民主党・緑の党の連立政権に対し、原子力オプションを維持するよう要請した。 同学会の声明は、経済や環境、社会などすべての側面に配慮した責任あるエネルギー政策への復帰を同政権に促す内容で、「長期的な供給保障を念頭に置いたエネ政策はドイツが再び主導的な競争力を備えたハイテク経済の中心に返り咲くことを保証する前提条件だ」と指摘。CO2を排出せずにドイツの電力需要の3分の1を賄う原子力は石炭や天然ガスよりも主要な一次エネルギー源だと訴えている。原子力によってエネルギーの自給率が高まるとともに、供給保障や価格変動の両面で長期的で確実な安定がもたらされるとの見解を示した。 同学会の声明は新しい原子力法には特に言及しない一方、緑の党が一層強い影響力を及ぼすと予想される新政権に対して、原子力関連部門で具体的に次のような活動が実施されるよう要請している。すなわち、(1)使用済み燃料の安全かつ長期的な管理に関する研究に十分な資源を供給(2)放射性廃棄物最終処分場に関する調査のモラトリウムを直ちに撤廃(3)原子力に関する基礎的な理解を堅持し、ドイツが国際的な新型炉設計に今後も参加していけるよう大学レベルの原子力技術教育を維持・推進(4)ガルヒンク研究所の新しいFRM2を早急に起動させる計画など、主要な国際研究にドイツが参画できるよう財政支援(5)ドイツの研究員が国際機関に参加できるようにする(6)実証済みで実用的な技術の専門家を主要な諮問機関や委員会のメンバーに任命する‐‐など。 |