[原子力産業新聞] 2002年11月14日 第2161号 <4面> |
[東芝] 新型CTを国内販売へ東芝は8日、16スライス同時撮影が可能なマルチスライスCTとして、世界最小の0.5ミリメートルスライス幅での撮影を実現した「Aquilion Multislice(16スライスシステム)」(=写真)の国内向け販売・納入を本格的に開始すると発表した。 同機は既に9月から日本では愛知県の藤田保健衛生大学、米国ではメリーランド州のジョン・ホプキンス大学等、日・米・欧の医療施設に設置し、本格的な臨床が開始されている。 同社は、来年3月までに「Aquilion Multislice(16スライスシステム)」について国内で75台納入する計画を立てており、国内外の医療機関で同システムが本格的に導入されることにより、CT診断は従来の診断分野に加え、循環器疾患診断でも優れた成果をあげていくことが期待されるという。 今回の新型CTは、体軸方向に世界最大32ミリメートルの検出器を搭載し0.5ミリメートルから2ミリメートルまでのスライス幅で16スライス同時撮影が可能。 0.5ミリメートルスライスによる高分解能撮影により、従来のマルチスライスCTでは達成できなかった心臓全領域に亘る冠状動脈の描出や、脳血管領域での微細な血管構造の描出を可能とした。 また、世界で唯一、2ミリメートルスライス幅で16スライス同時撮影できることから、体躯部の検査においても頚部から恥骨までの高分解スキャンが僅か八秒で完了することができる等、患者の負担軽減と検査効率の向上を実現する。 「Aquilion Multislice(16スライスシステム)」は、診療報酬・保険制度が変革され診療業務の効率対費用が厳しく問われようとする日本の医療環境ニーズに応えるCTとして市場から大きな注目を集めているという。 東芝は現在のところ、国内CT市場でトップシェアを維持しており、同社は今回の新システムの本格投入により、マルチスライスCT市場における、60%以上のシェアを堅持していきたいとしている。 |