[原子力産業新聞] 2002年11月21日 第2162号 <1面> |
[原子力安全・保安部会] 設備健全性小委が検討開始原子力安全・保安部会が今月8日に設置を決めた原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会は20日に初会合し検討を開始した。シュラウド(炉心隔壁)、再循環系配管にひびやその兆候が発見されたプラントについて、事業者が行う健全性評価と対策の妥当性を検証するのが目的。評価の方法等を固めた後、事業者の個別プラント評価の健全性を検証する。同小委の評価結果は原子力安全委員会に報告、同委の評価プロジェクトチームがダブルチェックを行う。 小委員会は佐藤一男原子力安全研究協会理事長を委員長に、原子力技術の専門家や報道関係、法律関係、企業経営等の有識者17名で構成。炉心シュラウド等の点検方法の適切性確認や健全性の技術的な評価・判定方法、具体的な点検結果に基づく個別プラントの健全性確認を進める。当面は安全性評価の方法や判定の考え方から検討をはじめ、海外事例も参考にしつつ個別案件評価に進む方針。 初会合では、保安院がシュラウドや再循環系配管など評価対象機器の点検方法等を説明。各委員からは、「評価の信頼性を得るためには、批判的な専門家を含めて内外の専門家が検証できるようにすべき」と、評価の信頼性や客観性をいかに担保していくかが重要とする意見が示された。佐藤委員長も席上、「情報の公開、意志決定の透明性が大切」と、国民の信頼確保の重要性を指摘した。 また評価の技術的側面については、超音波探傷等の確認方法には限界があること、溶接部の健全性評価にあたって、運転に入る前から残留応力等のデータをきちんと取得しておく必要もあったとして、従来の関係者の対応に甘さがあった面も指摘された。 保安院では、次回を来月上旬にも開催する考え。 なおひび割れがあった場合の健全性評価基準については、一連の東電不正問題に対する再発防止関連規制法改正案が現在臨時国会で審議中であるため、同法案の成立後に別途、原子力安全・保安院が民間規格の活用も視野に入れて検討を開始する方針としている。 |