[原子力産業新聞] 2002年11月21日 第2162号 <2面>

[原子力委員会] 東京で市民参加懇談会

原子力委員会は19日午後、渋谷の東京ウィメンズ・プラザホールで、「市民参加懇談会in東京:知りたい情報は届いているのか‐東京電力の不正記載を契機として」を開催、約250名が参加した。説明に立った桝本東電副社長は、12月上旬に最終報告をまとめると述べた。

市民懇は、1月の刈羽村、7月の東京に続く3度目となる。主婦連副会長の清水鳩子氏、大阪大学名誉教授の住田健二氏、AERAシニアスタッフライターの田岡俊次氏らがパネリストを務め、市民参加懇コアメンバーから6氏が登壇、また、原子力安全・保安院から片山審議官、東電から桝本副社長らが参加した。

第一部のパネル・ディスカッションではまず、東電問題の経緯について、木元原子力委員が説明、続いてパネリストが意見を述べた。主婦連の清水副会長は、東電が事件後も電力消費者に積極的に説明する姿勢が見られないと批判した。住田氏は、シュラウドの傷と格納容器偽装の問題は性格が全く違い、安全性を超えた技術者としての根本に関わる問題で、「これはひどいとの一言」と述べた。

田岡氏は、格納容器偽装問題を、「詐欺事件を追っていたら殺人事件が出てきたようなもの」と表現、偽計業務妨害にもあたりうるもので、東電社内には事情調査にさえ応じないグループがあると指摘、このような状況では再発防止や情報開示は無理と述べた。また、会社としての意志でこのような偽装を行ったわけではなく、特定の「グループぐるみ」であることから、会社への罰金は意味がないと指摘した。

東電が10月下旬にまとめた偽装事件の中間報告について、偽装を行った人物や理由などの詳細が明らかになっていないとの批判、東電の内部調査に頼らずなぜ保安院が自ら調査しないのかとの疑問が出された。桝本副社長は、社外の弁護士5名からなる調査団が、12月上旬までに、事件に関わった人物の氏名、方法、背景などを含め、最終報告をまとめると予定だ述べ、これにもとづき社内処分等が行われる模様。


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