[原子力産業新聞] 2002年11月21日 第2162号 <2面>

[FNCA] 「次世代のための原子力」テーマに

「次世代のための原子力」をテーマとし、日本の原子力委員会と韓国共催の「アジア原子力協力フォーラム」(FNCA)が10月30、31日、ソウルで開かれた。アジア地域9か国(オーストラリア、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)から、大臣級と上級行政官41名が集まり、原子力利用の協力推進について活発に議論した。わが国からは、細田博之・科学技術政策担当大臣、藤家原子力委員長をはじめ10名が参加した。

原子力は持続的発展に重要で一致

「持続的発展と原子力エネルギー」と題する円卓討議は、遠藤原子力委員長代理の演説に始まり、「温室効果ガスを放出しない原子力エネルギーは、持続的発展に重要な役割を果たす」という点で意見が一致した。一方、エネルギーミックスはエネルギー資源、政策にしたがって各国が決めるものだとマレーシア、オーストラリア代表が指摘。中国、韓国、日本は「地球環境」と「エネルギー確保」の観点から原子力の重要性を強調、とくに張華祝国家原子能機構主席は中国が京都議定書を批准したと述べ、「原子力がCDMに含まれるべきとする考えを支持する」と明言した。

FNCAで、アジア地域全体のエネルギーの将来の需給、環境影響を総合的に検討・評価することが提案されており、来年3月までに実施計画をつめることになった。

中国、05年に原子力が900万キロワットへ

代表演説では、中国の張華祝氏が原子力発電の現状について説明、国策として「原子力は国の持続的発展と環境保全に重要である」という朱鎔基首相の考えを紹介した。中国では新規原子力発電所の建設、運開が順調に進行しており、2005年には原子力発電所総容量は900万キロワットに達し、電力の3%をまかなう。技術の国産化についても、軽水炉とCANDU炉用の燃料加工技術を取得。また、18か月サイクル運転が可能な高バーンアップ燃料の製造も可能になったとしている。

放射線・RIの利用についても、300以上の企業が実用化しており年額200億元(3000億円)の売上がある。照射装置数は1990年以降年率20%で増加していると述べている。放射線医学は、千の病院で利用されていて国民の医療向上に役立っている。

ベトナムのフェイ科学技術環境副大臣によると、最近行われた1万5000人を対象に行われた世論調査では75%がベトナムでの原発建設に賛成。原発の予備可能性調査の結果を2003年末まで政府に提出し、それに基づき将来の計画を決める計画。

町末男・FNCA日本コーディネーター(原産常務理事)


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