[原子力産業新聞] 2002年11月28日 第2163号 <2面> |
[原研] 加速器による核変換でワークショップ日本原子力研究所は26日、東京・港区の虎ノ門パストラルで「加速器駆動による核変換研究の新たな展開」ワークショップ(=写真)を開催した。 日本原子力研究所の進めている加速器駆動システム(ADS)による分離変換技術(P‐T)の研究開発の現状と課題を報告するとともに、今後の研究開発の展開に関して議論を行った。 冒頭あいさつした田中俊一原研東海研究所長は、高レベル廃棄物処分にあたり、技術者としても「少しでも負担の軽減につとめる必要がある」としたうえで、マイナーアクチニド(MA)など高レベル廃棄物に含まれる長半減期核種の分離変換に関する基礎、基盤技術の開発の重要性を強調。とくに技術的に多くの可能性を有する加速器を使った核変換技術について、整備中の大強度陽子加速器での研究計画実現が不可欠との考えを示した。 その後、原研の報告が行われた。それによるとMAを効率的に、また安全性を考えて未臨界で運転する加速器システムを使った一連の核変換技術を2030年頃に実用化する目標としており、核変換特性としてはMA変換量が300(キログラム/GWt/年)で12基軽水炉分に相当になることや、将来の原子力事情の変化に柔軟に対応し、廃棄物の最小化が可能であること等が報告された。 また群分離プロセスや、MAを混ぜて照射するための燃料(窒化物燃料)の製造技術、再処理(乾式)技術の研究開発、核変換を行う加速器システム等核変換プロセスの研究の基礎的な技術開発等が着実に進んでいることが報告された。今後廃棄物への対応や経済性等の検討も進め、サイクル計画等の進捗をふまえて2040年頃には実用級の加速器駆動核変換システム(800MWt)を導入する目標も示された。 |