[原子力産業新聞] 2002年11月28日 第2163号 <3面>

[米国] テロ対策シミュレーション実施

米原子力エネルギー協会(NEI)が10月21日付けで伝えたところによると、テロに対する国家安全保障シミュレーションで、元議会議員や退役軍人、引退した政府関係指導者達が「原子力発電所は国家の重要なインフラ設備に対するテロ攻撃に対して、おそらく最も防護対策の万全な産業施設」と称賛していたことが明らかになった。

このシミュレーションは10月17、18日の2日間にわたりワシントン地区で実施されたもので、米国内の重要な産業インフラ施設がテロ攻撃の対象になっているという情報が得られた段階を想定。元上院議員のS・ナン氏が米大統領の役回りを担当し、48時間以内にテロ攻撃が起こるという未確認だが信頼性の高い情報への対応を検討するためキャンプデービッドで国家安全保障会議を招集するというシナリオだ。

シミュレーションで得られた教訓について、国際戦略研究所(CSIS)のJ・ハマー所長は記者会見の席で、「原子力産業界はこれまで非常に長きにわたって警備に真剣に取り組んできた産業」と強調。原子力発電所は化学プラントやダム、液化ガス、ガソリン・ターミナル等と並んで潜在的にテロ攻撃の対象となり得る7つの産業施設に特定されているが、「その中でも最高の防衛手段が取られている」との評価を下した。同氏はまた、原子力発電所では連邦政府や州政府、地元自治体などとの連絡網が確立されているとして、その態勢を称賛している。

ハマー氏のコメントは、過去に警備に関する専門家達の多くが原子力発電所における態勢を高く評価したのを裏付けた結果になった。例えば昨年12月には、ニューヨーク州知事付の国家保障顧問であるJ・カルストロム氏が同州内で稼働するインディアンポイント発電所を「極めて安全な場所」と形容した上で、FBIによる評価でも「非常に堅固」と判断されたことを明らかにしている。

米国の原子力発電所は頑丈なスチールとコンクリートで防護されており、専門訓練を積んだ6000名以上の準軍事的な警備スタッフが24時間態勢で高い安全保障レベルを維持。最新式の電子監視システムやセンサー技術も取り入れられている。


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