[原子力産業新聞] 2002年12月5日 第2164号 <3面>

[英・BE社] 経営再建計画を公表

電力卸売価格の下落と原子力発電所の稼働率低迷および操業コストの増大により資金難に陥っていたブリティッシュ・エナジー(BE)社は11月28日、英国政府が財政支援期間を来年3月9日まで延長する判断を下したのに合わせ、同日付けで会長に就任したA・モンタギュー氏の主導のもとで同グループの経営建て直しを目指す長期的な計画を公表した。同社に燃料や再処理サービスを提供している英原子燃料会社(BNFL)への支払いの一時据え置き、新たな原子力債務基金(NLF)への廃止コスト負託、アマージェン社株など北米における資産の売却などが提案されており、BE社はこれらに関して来年2月半ばまでに大口債務者の原則的な同意を取得。その後、政府が欧州委員会(EC)に通達し、2004年中に承認が得られれば実施に移すことになっている。

これまでのところ、政府のBE社に対する支援限度額は9月26日に決定された6億5000万ポンドで変更はなく、このうち3億8200万ポンドはすでに使用済み。政府としては債権者達の同意を条件にBE社の経営再建計画を支持するとの声明を発表している。

同計画ではまず、BE社はBNFLなど大口の債権者達への支払いを一時的に据え置く協定を結びたい考え。出資率に応じた利息は支払うものの、元金の返済は難しいとしている。また、BNFLはすでにBE社の燃料の貯蔵や再処理に関するすべての支払いを来年3月末まで据え置くことに原則的に合意したとしており、それ以後、BE社の再建が完了するまでの期間は使用済み燃料関係サービスの値引きに応じるとしている。BNFLに対してはさらに、すべてのBEグループ子会社に適用されている既存の協定に代えて、フロント・エンドとバック・エンドの両方で新たな支払い条件の契約締結を提案。市場価格に応じた燃料製造コストの値引き、処理サービスの割引/割増などを明記している。

原子力債務および廃止措置基金関連では、BNFLに対する2086年までのバックエンド契約分を9月末現在で約21億ポンドと見積っているほか、未契約債務が約7億ポンド、原子炉の廃止措置コストが約6億ポンドと計算。再建計画では、既存の基金(NDF)を拡大させる、もしくはこれを補完する役割を持たせた新たな原子力債務基金(NLF)を通じてこれらの歴史的な使用済み燃料債務や廃止措置コストを賄いたい考えだ。BE社としてもNDF/NLFへの払込みは継続するほか、政府が同基金の資産を超える債務に対して財政責任を引き受けることになっている。

BE社はこのほか、大口債権者に対して新たな株式を発行し、これと引き替えに既存の負債を抹消することを計画。新しい株の発行は七億ポンドを限度とするが、このうち2億7500万ポンドはNLFに充てたいとしている。


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