[原子力産業新聞] 2002年12月19日 第2166号 <3面>

[米DOE] 長期エネ需給予測を公表

米国エネルギー省(DOE)の統計・分析機関であるエネルギー情報局(EIA)は先月20日、米国における2025年までの長期的なエネルギー需給を予測・分析した「年次エネルギー予測2003」を予備発表し、原子力については僅かながら設備容量が増加するとの見通しを明らかにした。

この報告書はEIAが毎年まとめているもので、今回は将来予測の範囲をこれまでの2020年から2025年まで拡大。2003年版の最終報告書は来年1月初頭に公表する予定だとしている。

EIAの予測シナリオによると、2025年までの間に新規原子炉の建設がないというのはこれまでどおりだが、既存炉の操業認可更新などにより、閉鎖される原子炉数は前回予測より若干減る見通し。既存炉毎の出力増強も原子力全体の設備容量を押し上げる結果になったとしている。近年の趨勢として「運転認可の更新を原子力規制委員会(NRC)に申請するのは今や、珍しいことではなくなり、これまでの予測で強調されてきた原子力の設備向に歯止めがかかる要因になった」と指摘しており、こうした低下傾向が現れるのはもっと後になるか、あるいは現れないことも考えられるとの認識を示した。

米原子力エネルギー協会(NEI)のR・マイヤーズ上級部長は、「過去数年間にわたりEIAは原子力の将来見通しについて最悪との見方を示していたが、今回の報告書でそれは格段に改善された。EIAの分析も半分は正しかった」とコメント。99年の報告書で、2020年までに5,080万キロワットの原子力設備が閉鎖されると予測していたEIAが、それ以降、毎年この数字を下方修正してきた事実に言及した。

具体的にEIAは今回の報告書で、2001年に9,820万キロワットだった原子力の総設備容量が出力増強などの方法により2006年は1億40万キロワットに。これをピークに低下していき、2025年には9,960万キロワットになると予測した。01年から25年までの出力増強分420万キロワットは、閉鎖される容量280万キロワットを相殺するとの見方を示している。

ただしNEIとしては、EIAが計画の根拠としている前提条件のいくつかには疑問が残るとしており、「国内の原子炉103基による発電量を過小評価している」と指摘。NEIの分析によれば、25年までの出力増強は一旦停止した原子炉の運転再開などにより千万キロワットに達する見込みだ。また、原発の運転コスト算出にEIAは不適切な数値を使っていると強調。EIAが原子炉毎の年平均資本費をキロワット当たり20ドル、あるいは百万キロワット級原子炉で年間約2000万ドルとしたのは妥当だったとする一方、原子炉毎に年間50ドル/キロワットという、石炭火力発電所より一桁も高額な「経年効果費」を追加費に想定したのはまったく根拠に欠けることだと批判している。


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