[原子力産業新聞] 2003年1月16日 第2169号 <2面>

[原子力安全委員会] 規制免除レベル取入れを審議

原子力安全委員会の放射線障害防止基本専門部会は15日、国際基本安全基準(BSS)の規制免除レベルの国内法令への取り入れ等にあたっての基本的考え方を審議した。1996年にIAEA(国際原子力機関)がまとめたBSS規制免除レベルの国内法令への取り入れは、文部科学相の諮問機関である放射線審議会の検討を経て、文部科学省が放射線障害防止法改正などの検討を進めているところ。安全委では、こうした動きを踏まえて、放射線障害防止の基本にかかる問題として、BSS規制免除レベル取り入れに関する基本的な考え方を示すことにし、同専門部会に意見をもとめていた。

安全委では国内法令への取り入れにあたり、その基本方針として「原行のIAEA輸送規則との整合、核種の放射線特性と科学的性質を考慮した合理的な放射線障害防止に通ずる等の点から時宜を得た措置」との認識を示す一方、「その実施にあたって、関係省庁は、現在また今後予測される放射性同位元素及び放射線利用の実施を踏まえて、必要性、実効性及び合理性の観点から規制の方法、対象及び範囲を検討することが重要」などの考え方を示し、密封線源の規制や核燃料物質等の扱いといった取り入れに直接関連する課題に対する考え方を明示する方針。また関連して考慮すべき課題として放射線発生装置や医療に伴う放射線被ばく、放射線取り扱い主任者等の資格に関する規制上の課題等もあわせて示すことにしている。

この日の専門部会では、BSS規制免除レベルの取り入れに直接関連する課題等、また関連して課題にあげられる問題点の整理を行い、基本的考え方の骨子を固めた。安全委は専門部会の意見を踏まえて基本的考え方を近く示すこととしている。

IAEAが示したBSSの免除レベルは約300の核種について被ばく経路等を考慮し規制の対象外とする免除レベルを定めているが、国内に導入すると現行規制に比べて放射線源を使った機器等の規制が大幅に厳しくなるものや、緩和されるものがでてくるため、利用実態等もふまえて合理的な規制体系の見直しが必要。

文科省では昨年11月からBSSレベル導入とあわせ、放射線障害防止法、原子炉等規制法などの必要な見直しを、同月設置した検討会で審議を進めているところだ。


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