[原子力産業新聞] 2003年1月23日 第2170号 <2面>

[原産] 原子力実態調査報告取りまとめ

日本原子力産業会議は17日、2001年度の原子力実態調査報告を取りまとめ発表。それによると、当該年度の電気事業における原子力関係支出高は2年連続で2兆円を超え、1958年の調査開始以来最高の、2兆850億円に達したことが明らかになった。

調査の対象となったのは、2001年度に原子力関係の売り上げ、支出、従事者を有するなど何らかの実績のあった、電気事業11社、鉱工業313社、商社28社の計352社。調査はこれら企業からのアンケート調査に基づいてまとめられている。

具体的に内容を見ると、電気事業の原子力関係支出は前年度と比較して653億円増の、2兆850億円をマーク。3年連続の増加となったが、これは調査開始以来の最高値だ。そのうち運転維持費が対前年度比8%増の1兆1303億円と引き続き増加傾向を示しており、全体の支出の54%を占めている。一方、放射性廃棄物処理・処分費用や原子力発電施設解体費、使用済み燃料再処理引当金などが含まれる「その他経費」は96年度以降増加傾向を示しており、01年度はついに5000億円を突破。これについて同調査では、「原子力発電環境整備機構への拠出金に充当する特定放射性廃棄物処分費用が新たに発生したことや、原子力発電施設解体引当金の省令改正に伴い、原子力発電施設解体費が増加したことが影響している」と分析している。さらに01年度は、核燃料費が過去最高の5435億円(対前年度比50%増)を記録したことも明らかになった。

一方、99年から増加傾向にあった建設費は、対前年度比17%減の3528億円にとどまった。

鉱工業に目を転じると、前回調査では減少を示していた原子力関係売上高が、対前年度比7%増の1兆7501億円となった。また支出高も核燃料サイクル部門を中心に、総支出高で対前年度比3%増の1兆8608億円となり、3年連続の増加を記録。しかし今後は減少するものと見込んでいる。また鉱工業の受注残高は、3年連続の減少となる1兆9694億円にとどまった。この金額は、同年度売上高のわずか1.13年分であり、非常に厳しい現状が浮き彫りとなる形になった。

今回の調査では、民間の原子力関係従事者の減少傾向が、引き続き減少傾向にある事も明らかになった。2001年度の民間原子力関係従事者数は、対前年度比マイナス5%の5万70人。これは1979年度の水準であり、同調査では、今後も電気事業では増加するものの鉱工業では減少するため、トータルとして見た民間企業の研究者数は減少するとの厳しい予測をしている。


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