[原子力産業新聞] 2003年2月13日 第2173号 <1面>

[米国] 国防長官イラク問題、国連安保理で説明

 米国のパウエル国務長官は5日、国連安全保障理事会の外相級会合で、偵察衛星画像や盗聴記録など、米情報機関が得た情報にもとづくイラクの大量破壊兵器開発状況を、1時間20分に及び発表した(=写真下、国連提供)。

 核兵器開発計画についてパウエル長官は、「フセイン大統領が核兵器開発計画を中止した兆候はなく、逆に核兵器取得を決意している事を示す、十年以上に及ぶ証拠がある」とし、押収された高張力アルミニウム管(=写真左、国務省提供)などをその証拠としてあげた。

 パウエル長官は、亡命者からの情報により、1995年にイラクが核兵器開発のための緊急計画を作成、核兵器製造のために必要な開発の中心人物と核兵器の設計など2件は取得済みで、残る1件は十分な量の核分裂物質製造だと述べ、このため、イラクが安保理決議に違反して遠心分離法によるウラン濃縮計画を行っていたと述べた。

 この証拠として、遠心分離機に転用可能で安保理決議により禁止されている高張力アルミニウム管を、イラクが11か国から密輸しようとしていたこと、遠心分離機用と見られる20〜30の磁石製造工場導入のため、ルーマニア、インド、ロシア、スロベニアなどと交渉していたこと、遠心分離機ローターのバランスを取る機械を密輸しようとしていたことなどを挙げ、「これらの密輸計画は、核兵器計画に欠けていた核分裂物質製造能力に、イラクが集中して取り組んでいることを示す」と述べた。


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