[原子力産業新聞] 2003年2月13日 第2173号 <3面>

[米・NRC] 原発警備などで要求予算拡大

 米原子力規制委員会(NRC)は3日、今年10月から始まる2004会計年度の予算要求額を議会に提示し、対今年度比7%アップ分の大半を原子力発電設備の警備など国土安全保障活動や新規原子炉の許認可活動に割り当てる方針であることを明かにした。

 NRCの予算要求総額は6億2610万ドル(751億円)で、今年度予算から4110万ドル(49億円)、約7%の増額となった。増加分の75%にあたる3160万ドル(38億円)は国土安全保障活動への追加経費および新規原子炉に対する認可活動費用として必要だとNRCは説明しており、放射性物質管理の改善やNRCの認可を受けた施設の警備強化など国土安全保障関係の要求額は合計で5300万ドル(63億6000万円)にのぼっている。01年の同時多発テロ事件以前は計画的な襲撃に対処する経費が500万ドル程度だったことを考え合わせると、この額は過去最高レベルだという。

 また、建設の可能性が近年とみに高まっているとNRCが見ている新規原子力発電所の認可関係活動費は合計で3350万ドル(約40億円)となっており、これには既存原子炉の認可更新申請の審査費1970万ドル(23億6400万円)のほか、早期立地認可事前申請の技術審査や設計認証審査、新技術の評価作業を支援する研究などの経費が含まれるとしている。このほか、増額分の残りは、NRC職員への給与・手当て増額や米エネルギー省が予定している高レベル放射性廃棄物(HLW)処分場申請の関係作業費、貸借料の値上がりや情報技術作業経費−−などに充てられる予定だ。

 なお、NRCの戦略分野毎にまとめた要求額は、@原子炉の安全性に3億580万ドルA放射性物質の安全性に7120万ドルB放射性廃棄物の安全性に7010万ドルC国際原子力安全支援活動に540万ドルD管理・支援費に1億6630万ドルE審査官一般の経費として730万ドル。

 原子炉の安全性関係活動としては、既存の原子炉百四基の定期的な監視・検査や認可更新および新規認可関連の活動、民生用原子炉の設計・建設操業における安全確保研究が含まれる。また、放射性物質の安全性支援では、全米37の燃料サイクル関係施設の監視・検査支援活動などに充てられるとしている。


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