[原子力産業新聞] 2003年2月13日 第2173号 <3面>

[英国] 原発敷地内に反対派

 英国議会から先月15日付けで伝えられたところによると、一部の反原子力派が13日にサイズウェルB原子力発電所(125万8000キロワット、PWR)(=写真)の敷地内に不法侵入した件について、英国政府の担当大臣は「安全上特に問題は無かった」との事実を議会に通達した。

 議会に対するN・グリフィス貿易産業相の報告によれば、13日の早朝、ブリティッシュ・エナジー(BE)社が所有する同発電所の外辺フェンスを破って、反原子力派の27名が侵入。そのうち五名は格納容器建屋の壁に「危険」と書き残したと言う。

 同相は、詳細を後日報告書にまとめ、原子力発電所の警備体制については引き続き検証していくとの方針を示しているが、同相は今回の事件では、外辺部フェンスが破られた時点から警備システムが侵入者とその行動のすべてを把握していたと強調。反対派が制御室や原子炉建屋など機微な区域に侵入することはなかったと断定している。

 同相はまた、「サイズウェルBのシステムは不測の事態にも対処できるよう侵入者を発見、あるいは、足止めする目的で設置されており、警備スタッフは機微な区域を確実に防護することが可能だ」と指摘。警備対策が適切に機能した点を強調した。実際に今回は、警備員と侵入者の双方が不必要なリスクに晒されるのを避けるため、施設の屋根から侵入者を排除する具体的な行動は取らなかったものの、地元警察官がすでに現場に急行していたという事実を明かにしている。

 同相はさらに、原子力発電所の警備体制が「多重防護」の原則に基づいて取られている点に改めて言及。外辺部のフェンスだけでは大人数の侵入者を食いとめることはできないが、警備に関わる予防対策としては真の脅威と平和的な抗議活動を区別する必要があり、「サイズウェルBで取られた措置が計画通り適切であったことには満足している」との認識を表明した。

 BE社によれば、同B発電所は事件に影響されることなく通常通りの運転を続けているという。


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