[原子力産業新聞] 2003年2月27日 第2175号 <1面>

[放射線審議会] 「監視区域」の導入など検討

 文部科学省に設置されている放射線審議会が26日に総会を開き、ウランやトリウムなど自然にある放射性物質の取扱いについて、国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方をもとにした規制免除の方針を検討することを決めた。またICRPの考え方に基づき、研究等に広く活用されている少量の放射性同位元素(RI)を用いる場合に特別な手続きを要さない「監視区域」の提案について、国内での導入をめぐる技術的な検討も行う。

 

放射線審議会は、ICRPの1990年勧告の国内法令への取り入れに関する意見を1998年までにとりまとめ、職業被ばくに対する線量限度等についての考え方を打ち出した。その際、長期的な課題のうち、ICRPの「規制と免除」の考え方に関して意見をまとめて、文部科学省が現在、その考え方を国内に取り入れるための法令改正等の検討を進めている。

一連の検討で今後の課題として積み残しになっていたのが今回検討を進める二つの問題。

そのうち、自然起源の放射性物質に関しては、ICRPで規定されている「除外」、「行為」、「介入」の概念を整理しながら、一般消費材に使われているケースを中心に、利用実態を踏まえて規制免除の方針を審議する。

一方、「監視区域」についてはICRPが提案している考え方をもとに検討する。研究や技術開発にあたって分析等の現場で、たとえば少量のRIを含む試料を管理区外にある高度の分析機器等に使う場合などに、特別な手順を必要としない区域を「監視区域」として設ける、というのがその考え方で、国内の研究現場等からも要望が強いという。このため同審議会では、責任所在の明確化といった運用の面を含めて、安全を十分に確保しうる要件を検討することにした。

この日の総会では、同審議会の会長に佐々木康人・放射線医学総合研究所理事長を選出し、二つの課題検討の方向性を確認し、検討を進める上での論点整理をめぐる審議を行った。


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