[原子力産業新聞] 2003年3月6日 第2176号 <2面>

[サイクル機構] 地層処分で報告会開催

核燃料サイクル開発機構は2月28日、東京・港区のヤクルトホールで「地層処分技術に関する研究開発報告会−処分技術の信頼性を支える基盤の強化に向けて−」を開催した。

冒頭あいさつしたサイクル機構の都甲泰正理事長(=写真)は、深地層の研究施設計画に関わる北海道幌延町での研究所設置地区の選定、岐阜県瑞浪市での着工など、今年度にサイクル機構の地層処分技術に関する研究開発が重要な進展をみせたことを述べた上で、社会の理解を前提に今後の安全技術基盤の確立をめざす重要性を強調した。また新法人への統合後も、「地層処分技術の開発の重要性はいささかも変わらない」と、今後の取り組みへの意欲をみせた。

この後、地層処分技術開発の全体概要、続いて結晶岩質を対象とした研究拠点である東濃地科学センターでの深地層の科学的研究の現状、また堆積岩質を対象にした幌延深地層研究計画の現状が、それぞれ報告された。概要報告を行った同機構の福島操バックエンド推進部長は、幌延および東濃における研究施設計画について、2010年度頃をメドに最深部までの研究坑道の完成をめざしている、などの計画を示し、東海研究所においては、二研究所から得られる実際の地質環境等の情報を体系的にまとめて関連技術全体としての適用性を確認するといった研究活動を展開していく考えを示した。

また、東濃地科学センターの茂田直孝氏は、同センターの計画について、現状では研究所用地での地上物理探査や深度200メートルくらいまでのボーリング調査を実施し同調査結果を踏まえて深度約1300メートルくらいまでの深層ボーリング調査を準備中で、調査と並行して研究所の造成工事に着手、また研究坑道の掘削仕様や施工計画の検討を行っているなどの状況を報告した。来年度から研究坑道の掘削に着手する計画という。

一方、幌延での計画については、幌延深地層研究センターの山崎眞一次長が報告。研究所設置地区の選定にあたっての試錐調査の状況などを述べ、昨年7月までに二つの候補区域から一つに絞って、必要な手続きの最終段階にあることなどを説明した。


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