[原子力産業新聞] 2003年3月20日 第2178号 <1面>

[原子力安全・保安部会] 「検査技術評価WG」を設置

経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会(部会長=村上陽一郎・国際基督教大教授)は14日、同部会の原子炉安全小委員会(委員長=班目春樹・東大院教授)の下に「検査技術評価ワーキング・グループ」を新たに設けることを決めた。

「検査技術評価ワーキング・グループ」は、原子炉再循環系配管のひび割れ測定で実測値と誤差があった超音波探傷(UT)技術など、非破壊検査技術向上にむけた検討を行うのがねらい。超音波探傷試験で早期実用化が課題となっている欠陥の大きさや深さといった寸法測定の技術について、これまでの官民による技術開発の蓄積を踏まえ実際に検査等の現場に導入するための検討を行う。また検査技術の向上にともない、検査結果をきちんと評価する技能をもつ人材が求められるため、検査員の資質向上にむけた教育訓練の充実も検討課題とする。

またこの日の部会に原子力安全・保安院は不正問題を踏まえ東京電力が提出した再発防止策と、同院としての評価を説明。東電の対応策の内容や実施状況、今後の計画について妥当との見解を示した。東電では過去14年間にさかのぼって自主点検作業記録の総点検を行い「新たな不正の恐れのある事案はなかった」ことを最終報告としてまとめたが、保安院では、同報告は「適切に行われており、安全性の観点から問題とすべき事案は認められない」との評価を、この日の部会に説明した。

原子力安全・保安院は先に炉心シュラウドのひび割れ等の健全性評価について中間とりまとめを行っており、今回説明した見解など含め、福島・新潟の地元自治体に説明を行っていく。地元自治体の議会はじめ、住民に対する説明会を開く方針で、21日には柏崎市、23日には刈羽村でそれぞれ住民説明会を開くことにしている。また福島県でも26日に富岡町、27日に大熊町で住民説明会を開く予定だ。


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