[原子力産業新聞] 2003年3月20日 第2178号 <1面> |
[IAEA] 「核不拡散体制が危機」イラク情勢が最終段階を迎えるなか、IAEAは17日から理事会を開催、エルバラダイ事務局長は、「核軍備管理体制が挑戦を受けている」と警告、この要因として、イラクでの核査察問題、北朝鮮の保障措置義務違反、追加議定書締結の遅れ、核軍縮の停滞などをあげた。 イラクでの核査察について同事務局長は、現地査察が行われていなかった四年間に核兵器開発計画が再開された証拠は見つからなかったとし、ここ数週間、イラクは査察に協力的になってきたと述べた。 北朝鮮については、2月12日のIAEA理事会決議後、同国の保障措置義務違反を安保理に通告するとともに、北朝鮮にも決議の内容等を伝える書簡を出したが、何も反応はなく、北朝鮮は保障措置協定に違反して寧辺の5MW炉の運転を再開したと述べた。 エルバラダイ事務局長は、2月に行ったイラン訪問についても報告、訪問中にハタミ大統領ら政府首脳と協議するとともに、完成間近のウラン濃縮パイロットプラントがあるナタンツを訪問したと述べた。同所では商業用濃縮施設も建設中。イラン政府首脳との会談で同事務局長は、核燃料サイクルのような機微な施設を持つ国が、原子力技術の用途を明らかにしておく必要性を指摘、また、追加議定書への加入の必要性も強調した。イラン側は核不拡散条約(NPT)の義務に従うこと、同国の原子力計画の透明性を確保することなどを確認、追加議定書への加盟も真剣に検討すると述べた。 |