[原子力産業新聞] 2003年3月20日 第2178号 <1面> |
[原子力委員会] 「サイクルを考える会」 電気事業者招き開催原子力委員会は12日、核燃料サイクルのあり方を考える検討会の第5回目を開き、兒島伊佐美・電気事業連合会副会長、早瀬佑一・電気事業連合会理事(原子燃料サイクル事業推進本部長)、桝本晃章・東京電力副社長の3氏から、核燃料サイクル政策に対する見解と国への要望等を聞いた。 発言した兒島電事連副会長は、原子力が基軸エネルギーとして不可欠との見解を示すとともに、電力自由化やイラク問題の緊迫化等の諸状況を踏まえてエネルギーセキュリティーの面からもエネルギー自給率の低いわが国にとって原子力の重要性を強調した。 桝本東電副社長は一連の不正問題の原因調査と再発防止にむけた取り組みを説明し、「原子力開発全体への信頼を損ねる事態となったことは申し訳ない」と述べた。同氏は、これまで原子力発電の課題について改良標準化をはじめ新型炉や新型燃料の開発など改善をはかってきた一方で、「現実の状況を消化していくことに重点を置き品質保証体制が形骸化」し、「優秀な人間が同質・閉鎖的な体制で不正を助長した」などの問題を反省点にあげ、再発防止と信頼回復にむけ1歩1歩取り組みを進めたいとの見解を示した。 意見を聞いた木元教子原子力委員は、市民感情との隔たりがあることを指摘し、安全の考え方についても企業と市民の考えには隔たりがあることから、国民からの意見を広く聴く姿勢が重要と強調。兒島電事連副会長は、市民の声を聞き、その立場にたって考えるよう努力したいとした。 竹内哲夫原子力委員は、「自由化の流れは世界の趨勢」としながらも、「自由化にともない長期需要予測が難しく経営シナリオに不明確になるといった問題がある」とし、核燃料サイクルの今後の進め方についてシナリオ的な議論も必要との考え方を示した。 |