[原子力産業新聞] 2003年3月20日 第2178号 <3面>

[スウェーデンの電力2社] 原子力税の廃止要請

スウェーデンの国営電力であるヴァッテンフォール社は3日、「原子力発電容量に対する課税が廃止されない限り、原子力産業界は今後2年以内に古い原子炉の閉鎖を検討しなくてはならなくなるだろう」と述べ、政府に「不公平な税制」の廃止を求めた。

ヴァッテンフォール社のN・アンダーセン発電事業部長による今回の発言はドイツ原子力産業会議が開いた記者会見で披露されており、先月初旬に同国の大手原子力発電会社であるシドクラフト社が「差別的だ」として政府に同様の要請をしたのに続くもの。同国では2000年7月から原子炉の設備容量とそれに応じて1年間に見込まれる発電量キロワット時あたり2・7〜3オーレ(約0.4円)の課税が義務付けられているが、アンダーセン部長は「このまま高額な原子力税を課され続ければ、バーセベック2号機だけでなく国内で最も古い世代のリングハルス発電所でも2年以内に閉鎖の決断を迫られる可能性がある」と指摘。スウェーデンの原子力事業で大きな問題となっているのは政治家達だけでなく原子力税の存在なのだと主張した。この制度はピーク時の発電量に基づいて税率が設定されているので、廃止されない場合、バーセベック2号機などは操業しても利益が出ないため閉鎖せざるを得なくなると訴えている。

同部長はこのほか、今月中に政府判断が発表される予定のバーセベック2号機の早期閉鎖問題についても発言。「個別の原子炉の処遇についてはひとまず判断を先送りし、国のエネルギー供給システムの再編に関する産業界との話し合いの中で議論すべきだ」との見解を明らかにしている。


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