[原子力産業新聞] 2003年3月20日 第2178号 <3面>

[米・デューク社] MOXの試験装荷を申請へ

国のデューク・エナジー社が5日付けで伝えた所によると、同社は所有する2つの原子力発電所のうち1つに兵器級余剰プルトニウムを原料とするMOX燃料を試験的に装荷する認可修正を来年にも米原子力規制委員会(NRC)に申請する計画だ。

同社によると、商業用原子力発電所の炉心に通常の低濃縮ウラン燃料とともにMOX燃料を装荷するという同社の計画は米国でも過去30年間で初めての試み。米原子力規制委員会(NRC)の話では、72年に閉鎖されたペンシルベニア州のサクストン原子力発電所で兵器級の放射性物質を含むMOX燃料を装荷した例があるという。

デューク社は同社が南北のカロライナ州で操業するカトーバ、マクガイア両原子力発電所のどちらかに差し当たり4体のMOX燃料の試験用集合体を装荷する計画だが、これは両発電所で可能になるようNRCに認可修正を求めていく方針。正式な申請は来年になるとの見通しを示した。この計画は燃料の設計変更を円滑に進めるために実施しているもので、同社としては2005年から全燃料集合体百93体のうち4体にMOX燃料を利用したい考え。同社のS・ネスビットMOX燃料プロジェクト部長によると、このような手順を踏むことによって、欧州の原子炉ですでに実現されているような燃料性能の確認が可能となり、08年頃にはMOX燃料を大規模に利用するための認可が申請できる見込みだという。

兵器級余剰プルトニウムで製造されたMOX燃料を米国内の商業炉で燃焼させる計画は米国とロシアが2000年に結んだ協定に基づくもの。米国政府は当初、プルの一部を固化処理する計画だったが、昨年1月に「全量を商業炉で燃焼する」ことに方針を転換してた。


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