[原子力産業新聞] 2003年3月20日 第2178号 <4面>

[電力5社] 総点検報告の概要

1面所報のとおり、電力5社が、経済産業省原子力安全・保安院に対して14日に提出した、原子力発電所自主点検作業の適切性確保に関する総点検最終報告書の概要は次の通り。なお全社が昨年11月、それまでの検査において「問題なし」とする中間報告書を提出している。

北海道電力

泊発電所における自主点検記録調査の結果、今回の調査範囲について、@工事報告書等の間で記載に矛盾のある事案A法令・通達に基づく報告義務に違反する事案B工事計画の認可申請または届出が適切に行われていない事案C法令等の要求を満足していない事案−−に該当するものはなく、「自主点検作業が適切に行われていたことを確認した」とするとともに、社内体制や不正防止策の確立状況についても、適切であると発表した。

東北電力

女川原子力発電所自主点検記録の総点検調査の結果、「記録間の記載に矛盾や重要な情報の削除はなく、法令等に基づく手続きについても、工事計画認可(届出)に関する手続きが適正に行われており、技術基準適合義務違反や通達等に基づく国への報告義務違反、虚偽報告は認められなかった」とした。

なお、不正行為等には該当しないが、工事報告書に添付される記録の一部に記載、捺印のもれなど文書管理上の不備が22件(中間報告での6件を含む)認められ、これらに対しては、既に社内および工事施工会社も含め、文書管理の徹底を周知しているとしている。

関西電力

昨年11月の中間報告後、対象工事件数5383件(約300万ページ)におよぶ調査を完了。その結果、自主点検作業の実施状況において不適切であると思われるようなものはなく、自主点検作業に関する社内体制や不正防止策の実施についても適切に行われていることを確認した。

しかし一方、法令上等の報告義務はないものの、品質管理上より積極的に情報共有を図ることが望ましい情報があり、また検査成績書などでの工事報告書の紛失や誤記などの記載不備もあったことが判明したことから、今後は、より一層の品質保証活動の向上に努めて行くとしている。

四国電力

昨年9月に設置した「原子力点検評価委員会」において、同年公表した実施計画に基づき総点検を行った結果、「いずれも不正や法令違反となるものは認められなかった」とする検査結果を発表した。

検査は自主点検作業について、点検項目にして約5400件(工事報告書等の枚数にして約36万枚)について実施。結果、@工事報告書等の記載内容について、改ざんは認められなかったA工事報告書等に記載の設備の不具合・修理事例について、問題となる事案は認められなかった−−ものの、品質保証上の観点から好ましくない事案として、保有の点検記録等の検査結果記入漏れなどの記載の不備が33件、また原子炉容器復旧作業時のスタッドボルトの計画値以上の締め付けが6件発見されたため、これらについては関係者に周知徹底するとともに、工事記録の様式の改善および作業要領書の見直しを実施した。

また社内体制について、品質保証指針に基づき適切に実施される社内体制であることおよび、体質・風土、個人の意識、情報公開等について、不正防止策の活動および社内規定類の整備が適切に実施されていることが確認されたとしている。

日本原子力発電

東海第2および敦賀1・2号機における自主点検作業の総点検を行ったところ、「中間報告以降の調査においても不正や改ざん等の事実はなく、また法令や通達に関連する違反も認められなかった」ことに加え、「情報提供の観点から新たに改善策が必要と考えられる事項も認められなかった」としている。

しかし、記録類の作成・保管不良などがあったため、「品質保証の向上に一層努める」方針を掲げるとともに、「今回の総点検の結果を踏まえ、発電所運営の信頼回復に向けて、更なる『安全文化の浸透』及び『社会性のある企業』を推進。風通しの良い企業風土の醸成に取り組み、安全確保を第一に、地域の方々に安心感、信頼感を持っていただけるよう、今後も引き続き、最大限の努力を傾注していく」としている。


Copyright (C) 2003 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.