[原子力産業新聞] 2003年3月27日 第2179号 <2面>

[中国、九州、中部電力] 総点検報告の概要

 一面所報のとおり、中国電力、九州電力、中部電力は、自主点検作業の適切性確保に関する総点検の最終報告書を、経済産業省原子力安・保安院に提出した。報告の概要を紹介する。

中国電力

 総点検において,島根原子力発電所の自主点検作業が適切に行われていることおよび、自主点検作業の社内実施体制についても問題のないこと。さらには不正防止策が継続的に実施され、効果を上げていることを確認したとしている。

 自主点検作業の適切性に関する調査については、記録間の矛盾や重要情報の削除の有無。法令等にしたがって工事,報告が適切に行われているか等が調査され、結果自主点検作業は適切に実施されていることを確認した。

 一方、自主点検作業の社内実施体制および不正防止策に関する総点検では、社内規定類に自主点検作業に関する業務を適切に実施するために必要な事項が規定され、これに基づき実施されているかを点検するとともに、過去事例からの不正防止策が継続的に実施されているか点検。加えて今回の自主点検問題の原因と対策について反映すべき事項を検討した。その結果、社内規定類には自主点検作業に必要な事項が盛り込まれ、業務はこれらに従い適切に実施されており、実施体制に問題ないことを確認。また、過去事例から不正防止策として実施している活動は、継続的に実施されて効果を上げており、不正防止は図られていることを確認したとしている。

 中国電力では今後、総点検結果および全社的なリスク管理に関する検討結果を踏まえ、コンプライアンスの推進および監査の充実、情報公開の推進、更には開かれた職場づくりと部門間の相互理解の促進ならびに規定類・要領類の見直しに取り組むとしている。

九州電力

自主点検作業調査では、原子炉圧力容器、その内部構造物、原子炉冷却材圧力バウンダリの構成機器、その他設備の点検作業について、@書類間の不整合および、必要な技術的情報の削除A技術基準適合義務を遵守していなかった可能性B保安基準に規定されている制限値が守られていなかった――などといった事案に該当する物は認められなかったとしている。

 また、社内体制および不正防止策の点検では、社内体制で是非が必要となる事項は認められず、良好な品質保証活動が実施されている事が確認されるとともに、安全文化の醸成、職場気質、風土の改善といった分野の検査でも、様々な面において不正防止への取り組みが行われていることを確認したとしている。

中部電力

 浜岡原子力発電所の自主点検作業、主要改造工事および事故・故障事例等に基づく水平展開に伴う点検作業について、@書類間の矛盾の有無(記録改ざん等不正の有無)A機器開放時の記録についてB報告義務違反の有無C機器復旧時の記録について、技術基準適合性違反の有無D法に定める所定の手続き未実施の有無――の判断基準により、同社保有の報告書類と請負者保有の報告書類を突き合わせ照合し、所見や証拠データに不整合が無いか等を1件1件確認した結果、すべて適切に実施していることを確認した。しかし一方で、調査の過程で書類に誤記、転記ミス等118件(このうち16件については、中間報告時に確認済)を確認。これに対して同社では、文書保管期限の明確化とルール遵守など、対応策を打ち出している。

 また、品質保証の観点で自主点検作業に関連する社内基準類が整備され、自主点検作業がその社内基準に従って実施されているか、過去の事例を教訓とした不正防止策が確実に実施されているか等についても調査を実施。その結果、いずれの実施状況も適切であることを確認した。


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