[米国・ロシア] 軍用プル生産炉閉鎖で協力協定

　米エネルギー省（ＤＯＥ）は１２日、ロシアに残存していた核兵器級プルトニウム生産用原子炉３基の閉鎖・解体計画でロシア原子力省と協力協定を締結したと発表した。

　これらの原子炉はシベリアのセベルスクおよびジェレズノゴルスクに立地しており、軍事目的のプルトニウムを生産炉としては最後の３基。近隣で閉鎖された二つの核都市にも電力と熱を供給していた。同協定における両国各々の権利と責任を明記した実施協定によると、米国は閉鎖される原子炉３基の代替電源となる化石燃料発電所の建設でロシアに支援を提供する。ロシアとしてはセベルスクにある既存の化石燃料発電所を改修するほか、ジェレズノゴルスクでは新規の発電設備の建設を計画。原子炉３基の閉鎖とそれに伴う廃止措置には全面的な責任を負うことになっている。これらの原子炉はまだ１５年ほど寿命が残っており、そのまま稼動を続けた場合、約２５のプル生産が可能。これは毎日核弾頭を一個製造できる量だが、ロシア側は化石燃料発電所が完成するまでの間はこれら３基をこれまで通り稼動させる予定だと言う。

　ＤＯＥのＳ・エイブラハム長官は今回の協定について、「両国における核不拡散推進のための重要なステップ」と評価。ブッシュ政権が２００４会計年度の予算要求で、核不拡散関係予算を０３年度予算額から３０％増の１３億で議会に計上したことも明らかにしている。