[原子力産業新聞] 2003年3月27日 第2179号 <8面>

[保安部会・原子炉安全小委] 維持規格2000の導入は妥当

 原子力安全・保安部会の原子炉安全小委員会(委員長=班目春樹・東大院教授)は25日、原子力発電設備の健全性評価(維持基準)について日本機械学会がまとめた維持規格2000を国の規制基準に取り入れることを妥当とする見解をまとめた。今後、保安院は規格導入にむけて具体的な制度設計に入る。

 同小委の下に設けられた基準評価ワーキンググループが、これまで検討にあたってきた。同ワーキンググループは、日本機械学会のまとめた維持規格2000に対する保安院の技術評価報告をもとに、@規制基準で要求している性能を達成するために必要な技術的事項について具体的な手法や仕様が示されているかA民間規格に記載されている具体的な手法や仕様についてその技術的妥当性が証明されているか検討し、「技術的妥当性は十分に確認されている」などと保安院の判断は適切とする検討結果をとりまとめた。この日の小委では、保安院の技術評価報告とあわせて同ワーキンググループの検討結果が説明され、基本的に了承したもの。

 維持規格2000は、日本機械学会が2000年5月にまとめた規格。いわゆる圧力バウンダリを構成する重要な機器として「第1種機器(容器と管)」を対象とした欠陥評価の方法(手順)とその判定基準を規定したもの。具体的にはフェライト鋼容器の欠陥評価、オーステナイト系ステンレス鋼管およびフェライト鋼管欠陥評価などに関する規定を示している。保安院では、この規格に基づいて、健全性評価が適切に実施されるために事業者が遵守すべき諸条件等を評価報告に盛り込んだ。

 また、同小委は親部会の原子力安全・保安部会が先に同小委の下に設置を決めた検査技術評価ワーキンググループについて、事業者の自主点検法定化にむけた検査方法等の検討を今月から開始することを決めた。自主点検法定化は今年十月から「定期事業者検査」制度としてスタートの予定で、その実施にあたり法令上の要求事項(検査の対象、項目、方法等)や検査手法の検討を進める。


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