[原子力産業新聞] 2003年4月3日 第2180号 <5面>

[三菱重工業] スロベニアのクルスコ発電所、タービンロータを受注

 三菱重工業はこのほど、三菱商事と共同で東欧・スロベニア共和国にあるクルスコ発電所の原子力タービンロータ取替工事を受注した。

 クルスコ原子力発電所は、スロベニアとクロアチアの国境付近に位置するクルスコ社が所有するスロベニア唯一の原発で出力は70.7万キロワット。同発電所のタービンはシーメンス社が1983年に納入したものだが、タービンロータの不調で、検査と補修が増加したことから、取替工事を実施することとなり、三菱は東欧で実績のあるシーメンス社を抑えて受注獲得を果たした。

 今回受注したのは、最新技術を織り込んだモノブロック型(一体型鍛造品)の大型原子力タービンロータで、設計、輸送、据付、試運転を含むターンキー契約。クルスコ社によると、モノブロック型ロータが今までの不具合の抜本的対策になると技術的に判断、入札の指定仕様とし、三菱の豊富な経験に基づく信頼性と価格競争力の両面から評価して三菱を選択したという。

 三菱が欧州においてタービンローターを納入するのは、1999年にスペインのバンデロス原子力発電所向けに続くもの。欧米では、原子力発電の再評価機運が高まっており、寿命延長を目指す既設発電所の設備取替え工事が活発化している。同社では今回の受注を機に、台湾、北米、欧州等の海外の原子力タービン取替工事受注に向けて今後とも積極的に取り組んでいく考え。


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