[原子力産業新聞] 2003年4月10日 第2181号 <2面> |
[原子力安全委員会] 技術的能力の指針化まとめ原子力安全委員会は7日、原子力事業者の技術的能力について、指針化の基本となる考え方をまとめ、意見募集を始めた。 原子力発電所の設置許可等に係る安全審査にあたり、災害の防止に関しては、検討や評価のガイドラインとなる指針類がきめ細かく制定され、審査にあたっての規範となっている一方で、技術的能力に関しては、その検討や評価のための指針がなく、審査は慣習に則って行われてきている。また、1999年9月末に発生したJCO東海事業所での臨界事故についての調査報告書のなかで、その主要な原因のひとつに、作業工程、運転管理、技術管理、経営管理等の面で多くの問題点が指摘され、国による安全規制についても設備や機器といった、いわゆるハード面に限らず、ソフト面での一層の充実が必要であるとの指摘がなされていた。 安全委では、こうした状況を踏まえ、原子力事業者が備えるべき技術的能力とは何かを定義し、その能力を確保するための要件を幅広い観点から検討してまとめるとともに、規制要件として技術的能力を確保するための枠組みを定めて、各プロセスにそれぞれ必要な要件を整理したもの。 技術的な能力の基本的な考え方について同委は、「原子力安全を確保するのに必要となる能力及びそのための仕組みの総体」などと定義し、「必要となる能力」については、たとえば集団作業能力、統率力、コミュニケーション能力、組織管理能力、危機管理能力、品質保証能力だけでなく、それらが確立、維持されていることを自ら評価・監査する能力も含まれるとの考え方を示している。また、技術的能力の要件を@科学・技術的知識、操作技能、教育・訓練、資格・認定といった基礎的要素A組織管理能力や危機管理能力といった管理的要素B安全文化、倫理、技術の伝承といった基盤的要素−の観点から整理した。同時に技術的能力の確保にむけた規制要件について同委は海外事例も参考に「方針、組織、計画と実施、評価、改善、監査という一連の循環プロセス」を採用して、各プロセスに必要な要件を整理し、とりまとめた。 |