[原子力産業新聞] 2003年4月10日 第2181号 <3面>

[フィンランド] TVO、5基目の入札締め切り

 フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は3月31日、同社が建設を計画している国内で五基目の原子炉の入札を締め切ったと発表した。

 同社のM・パーボラ社長兼最高経営責任者(CEO)は「これまでに十分な数の原子炉製造メーカーから入札書を受理した」と強調。具体的な社名には言及しなかったが、原子炉の設計と供給範囲について様々な選択肢の提案があったことを示唆した。産業アナリストの分析では、この入札には仏独合弁のフラマトムANP社、ロシアの原子力輸出会社であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社、および米国のジェネラル・エレクトリック(GE)社が参加。ASE社については3月20日に入札書を提出したと伝えられているほか、フラマトムANP社が31日付けでEPR(欧州加圧水型炉)とSWR1000の両方で入札したことを明らかにしている。

 フラマトムANP社の説明によると、これら二つは欧州における設計要求項目のクリアを目標に、欧州の原子力事業者や研究機関および安全当局らが協力して開発。EPRではフランスのN4シリーズ(最新型の150万キロワット級PWR)とドイツ・シーメンス社のコンボイ型炉の特長が合理化されている。一方のSWR1000は、シーメンス社がドイツで実証済みのBWR技術を基礎に中規模の出力で設計した。どちらも事故時の対応策など安全性や経済性に優れているとしており、TVOの委託でフィンランドの認可当局であるSTUKが実施した事前の安全評価でも、これら二つの設計は同国の認可要求項目クリアが可能と結論付けられた点を強調している。

 TVOは今後、受理した入札内容が同社の指定した技術仕様を完全に満たしているかなどの点をチェックした後、投資コストの比較や運転費の計算、競争力についても比較評価することになると言明。今年の末までには原子炉設計とサイトを決定し、建設許可の申請につなげたいとの抱負を明らかにした。運転開始は2009年を計画している。


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