[原子力産業新聞] 2003年4月10日 第2181号 <3面>

[スイス] 新原子力法が可決

 スイス原子力産業会議(SVA)が伝えた所によると、同国議会の両院は3月21日、原子力オプションの維持に可能性を残す新たな原子力法案を可決した。

 新法は2005年に発効する予定だが、使用済み燃料の既存の再処理契約はそのまま実施されるものの、新規契約の締結は06年から10年間のモラトリアム、また、連邦政府の放射性廃棄物処分場計画ついては幅広く協議の機会を設けるが州の拒否権は認められないことになったと言う。

 これまでの議会審議は新法に盛り込む条項を巡って二転三転してきており、2001年末時点で全州議会(上院)は「州の拒否権条項」を否決したほか、昨年6月には国民議会(下院)が「原子力の段階的廃止」を否決。また、この段階で国民議会は「将来、新規原子力発電所を建設する可能性」について条件付きで可決したほか、9月には「再処理の十年間のモラトリアム」を否決していた。

 スイスで90年に決定された「原子力の新規建設モラトリアム」はすでに2000年に失効しているが、5月18日には「原子力無き電力供給」と「新規原子炉建設モラトリアムの延長」の二つの反原子力請願が国民投票にかけられる予定。新法の内容はこれら請願と相反する部分があるため、SVAでは最終的な成立はこの投票結果に左右されるとの見方を示した。


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